無意識のチョコとラブレター(ナギサ組/榴様へ)



※DPの記憶がオーバの「燃え尽きちまったぜ…」と二人の手持ちしかないので曖昧注意
※手持ち間違えてたらごめんなさい、ダイヤモンドの記憶遠いです。プラチナは未プレイ
※オーバ視点





バレンタインの朝。それは唐突に訪れた。





「デンジ!オーバ!はいこれ!」

「………おう?」

「………え?」





片やイケメンジムリーダー(金髪)。

片や四天王の一人(アフロ)。

二人は揃って間抜け顔で、共通する想い人からそれぞれチョコレートを受け取った。





**





「なあデンジ、こいつをどう思う」

「明らかに俺のが本命」

「バカ、絶対俺のが本命だろ」

「いや間違いなく俺のが本命だ。だってリボンがピンクだし。これ恋でしょ」

「はっ、俺だって!赤だぜ?これ愛だろ」





ソファーに並んで座って、お互いの足を素知らぬ顔して踏み合う。痛え踏まれた!

とりあえず本気で踏み返そうと思いっきり足を踏みおろす。見事に避けられ床と衝突する足の平。

その上を更に踏まれそうになったのですかさず避けた。更に上から踏みつける。お、デンジがこっち睨んでる。ざまあ

……っておいおい頼むぜゴウカザル、そんな目で見るな。悲しくなるから





「愛?アフロなのに?……プッ」

「お前こそ改造厨のくせに恋?――ハッ」





お互いを鼻で笑い飛ばして顔を一旦背けた後、キッと睨み合う。

目線の間で発電出来そうだ。おいエレキブル楽しそうにしてんじゃねえ




―――そう、先程受け取ったチョコレート。どちらが名前の本命かで言い争っているのである。




いい年してみっともない?好きに言え、俺らは本気だ

本気だからこそ今日はボケねえよ!漫才?そんなもんナギサの海に投げ捨てて来た

俺は白いセロファン紙に赤いリボンの小箱、デンジは白いセロファン紙にピンクのリボンの小箱を持って睨み合う。

第一に相手が相手だからこそ、こう熱くなるのである。貰ったチョコの数なんかでこんな風に争ったりしない。





「―――中身で勝負、だな」

「ああ、――負けねえぜ」





せーの、で揃ってリボンを解く。ふわり、と周囲に優しい甘い香りが漂った。

中身を確認する前にデンジと顔を見合わせる。あいつ以外に家庭的…?

揃って名前への評価が上がる。胃袋を抑えるのは基本だと(俺は)思う。





「………おお」

「うわ、クオリティ高え」





袋の中身を覗くと、それぞれの手持ちを模したポケモンクッキーが顔を覗かせた。

俺のはゴウカザル、ギャロップ、ミミロップ、フワライド、ハガネール。

デンジのを覗くとライチュウ、エテボース、オクタン、レントラーが顔を覗かせた。

かなり凝ったクッキーで、チョコやら溶かしたキャンディー(だろうか?)で色まで着けられていた。

しばし争っていた事を忘れ、クッキーを手に取りまじまじと見つめる俺達。ポケモン達も傍に寄ってきて覗き込んだ。






「これを……食えと!?こんな可愛いミミロップを食えと!?」

「俺も食えねえよこんなライチュウ…!」





どこにこんなテクを隠し持っていたというのか。超ハイクオリティなポケモンクッキーを目の前に頭を抱える俺達。

そりゃ好きな奴からの手作りは食べてナンボだろう。しかし相方達を模したこのクッキーはやたらとハイクオリティだった。

食べるのを躊躇っているのはデンジも同じ。―――そこで、ふと気がついた。






「おいデンジ、この勝負は俺の勝ちだな」

「何で?」

「気がつかねえの?フッ、じゃーあ教えてやろう!」

「すっげえムカつくんだけどなんか」





俺の得意気な態度にムカついたのか知らないが、睨みつけてくるデンジ。

しかし勝利を確信してしまったので余裕の笑みでデンジの視線を流す。

す、と袋に指を差し入れクッキーを一枚取り出した。フワライドクッキーをを頭上に掲げる。





「俺の方がクッキーが一枚多い!」

「な!?」

「数えてみろデンジ、―――お前は四枚!俺は五枚!」

「っ、……」

「やっぱ俺のが本命だな!赤だしな!っしゃあ!」





デンジの肩をばんばんと叩き、がーっはっはっは!と高笑いをする俺。

最高の気分だった時、―――それは訪れた。

クッキーが出し尽くされたはずのデンジの袋。

俺がデンジを叩いた衝撃により、転がり落ちた"それ"。





「――チョコ?」

「メッセージカード付いてる。……なになに?」





転がり落ちたのは小さなハート型のチョコレート。

少し嫌な予感を背筋に感じながら、デンジの手元に取り上げられたメッセージカードを覗き込んだ。





『デンジだけ一枚オーバより少ないから、チョコも入れとくね。ハッピーバレンタイン! 名前』





これで対等に戻ったな、と生気の戻った顔でにやりと宣戦布告したデンジ。正直目を合わせられない。

デンジも名前も意識してねえのか!?俺が意識しすぎなだけ!?

メッセージカードの文字は見慣れた名前のもの。

しかし、カードの文字の色に焦りを隠せない。……これ、ちょいヤバイんじゃねえか?





「オーバ?なに、ハートチョコで怖じ気付いたのか?」

「知らないんならしばらくそのままで居ろお前は」

「……は?」





こういうところで鈍感なデンジにイラついたので、とりあえず足を思いっきり踏みつけておく。






Happy*Valentine!

(――緑色の文字で綴られたメッセージは)
(どんな文章でもラブレターになる)
(意識してたのか名前は!?いや俺の考えすぎか…!?)


(ああくそ、眠れねえ!)




(2013/02/20)






初 の ナ ギ サ 組 が こ れ で あ る
ごめんなさい、ナギサファンの皆様に土下座します、記憶が曖昧つらい

榴様より頂いたバレンタイン企画のリクエストでした!
リクエストに応えられてないのが見え見えですね、わかります

自分の中の二人のイメージが、

デンジ:ニート、ジムの前にバッジ大量放置、改造大好き、ナギサの停電の原因はだいたいデンジのせい
オーバ:アフロ、燃え尽きた、アフロ、ミミロップ可愛い、アフロ、お兄さん、もっと熱くな(以下略)

ごめんなさい完全にオーバさんにアフロのイメージしかありません
公式でもネタ扱いっぽいとか思っててごめんなさい
ナギサ組好きなんですけど書く機会無かったし記憶も曖昧だったんですけれど
今回書いててすごく楽しかったです!

リクエストありがとうございました(*´ω`*)



(※本人様意外お持ち帰り禁止です)