かわいいきみにはキャンディーを
※大人なオズロック様はいません
※途中会話のみ
「オズロック、これは?」
「…天馬達が送ってきた」
「……なに、この鮮やかな色のクマ…?ハ、リボ…?」
「地球の菓子だそうだ」
分からん、と首を振ったオズロックが机の上の箱から目を背けた。「お菓子…」「ああ、菓子だと」いつも通りの時間、いつも通りの仕事部屋。そこに突如出現した天馬達からの贈り物だという段ボール…なる箱の中には珍しいパッケージの珍しいものが沢山詰まっているみたいだった。お菓子、ともう一度私が繰り返すと、オズロックが一枚の紙を手渡してくる。受け取ると、それがメッセージカードだということが分かった。差出人の名前は地球から、天馬。ええと、なになに…
「"やっほーオズロック、イクサルフリートのみんな!この間秋ねえと買い物に行ったんだけどさ、ファラム・オービアスじゃこっちのお菓子って珍しそうだなって思って。俺たち地球代表メンバーでオズロック達にお菓子選んだんだ!おいしいから食べてみてよ!一緒にまたサッカーできる日を楽しみにしてるね!天馬より"…」
「天馬は思いつきでしか行動出来んのだろう」
「ねえ、少しだけ食べてみようよ!結構おいしいのかも」
「……子供か」
**
◇某カラフルかわいいクマのグミ
「本当になんだこの鮮やかな色のクマは…」
「甘くておいしい!噛んでて飽きないかも。他のに比べて色が濃いね。ほらオズロックも」
「………一つで十分だ」
「なんでそんなに嫌そうなの…でもこれ誰が選んでくれたのかな。天馬っぽいね」
「やはり甘ったるいな。後はお前が食べればいいだろう」
「へえ世間ではお酒に漬けたりヨーグルトに漬けたりする人も…オズロック、ヨーグルトってなに?」
「地球の食品だろう」
「いやそれは分かるけど」
「そんなメモを入れるぐらいならヨーグルトとやらも入れておけ、あいつは…」
◇魔法の粉がかかってるアレ
「…なんだ、これは」
「どうしよう、もう一枚食べたい」
「………この粉は、なんだ…」
「オズロック、もう一枚!もう一枚!」
「名前、次々口に入れるな。口の周りが粉だらけだ」
「この粉なんだろう、おいしくてやめられなくなる…もしかして危険な粉!?地球ではこんなもの普通に売ってるの…?天馬達の強さもこの粉に…!?」
「鑑識に出せ」
「出す前にもう一枚」
「止めろそれは私の分だ」
◇定番のチョコレート菓子
「…!」
「…ふむ」
「私、これ一番好きかも。…ちょっと懐かしい感じだね」
「確かに悪くはないが、懐かしい…?」
「ほら、私たちが眠る前って、こんな甘いものはめったに食べられなくなってたじゃない」
「………」
「小さい頃は時々もらえるお菓子がすごく嬉しかったなあって思い出しちゃった」
「…………」
「どうしたのオズロック、黙り込んで。甘いもの食べて元気出しなよ」
「無理やり口に入れようとするな」
「そういえばさ、甘いものとか久しぶりだね」
「…食べたかったのか」
「食べたかったのかな」
「私に聞くな」
◇ころころかわいいカラフルな飴玉
「この紫色、グレープって味らしいよ」
「地球に存在する果実の味か。こっちは何だ」
「イチゴ?リンゴ?あ、リンゴはこの少し白い方…?でも絵の果実は赤いのに」
「この青いのは何だ…」
「ソーダ?ソーダって、果実…?」
「天馬達への手紙で聞いておけ」
「オズロック!このソーダって果実の味、なんか…うん、しゅわしゅわってする!」
「…そうか良かったな」
「な、なに。楽しいよ、これ。オズロックもはい」
「やめろ押し付けるな。そのような奇妙なもの私は、」
**
「地球のお菓子って、面白いし美味しいね」
窓からの光に飴玉、とやらを透かしながら名前が笑う。甘いそれは名前の心をすっかり掴んでしまったようで、名前は気に入ったのであろうリンゴ、の味の飴玉をいくつか手元に取り込んでいた。私はビター、と書かれたそこまで甘くないチョコレートを自分用に机の端に置いている。確かに地球の菓子は悪くない。
「名前」
「なあに、オズロック」
「…地球の菓子、気に入ったのなら定期的に取り寄せてやろう」
「え、いいよ別に。悪いよそんなの」
目を瞬かせた名前は心底意外そうな顔だった。確かに自分でも、らしくないことを言ったかもしれない。それでも自分よりも年が下のこいつを、多少は甘やかしてやりたいと思ったのだ。「何故だ、食べたかったのだろう」「うーん……食べたかったのか、よく分かんない」問うと、名前は微妙な顔をした。飴玉の包み紙を破りながら、少しだけ目を伏せた名前が笑う。
「だって、食べられないのが当たり前だったし」
「そうだな。だが、今は容易に手に入る」
「オズロックはちょっと私を甘やかしすぎだって、イシガシが言ってた」
「…お前は私たちの中で一番年が下だ」
「でもオズロック、」
「ならば、たまに息抜きで地球に出かけて好きなものを買うといい」
ぱちぱち。もう一度、目を瞬かせた名前から目を逸した。「じゃあ、じゃあさ、オズロック!」「…なんだ」本当に、らしくないことを言ってしまっているせいで名前の顔を見ることが出来ない。それでも言葉を返すと名前はぱたぱたと足音を響かせ私の目の前に回り込んでくる。
「みんなで一緒に、天馬達と行きたい」
「……好きにしろ」
「オズロックもだよ」
「…………………………私もか」
「うん」
嫌なのを顔に出したつもりだったのだが、名前はそんな事はお構いなしらしい。好きにしろ、ともう一度繰り返すと目の前の少女はみるみる笑顔になっていった。またイシガシに小言を言われるのかもしれないが、名前がそこまで嬉しそうにするのであればイシガシも強く言うことは出来ないだろうしな。
かわいいきみにはキャンディーを
(2015/04/23)
企画より皐月様へ捧げさせて頂きます。ご参加ありがとうございました!
いや、ほんとにお礼を言わせてください…気を使わせてしまってすみません;
リクエスト内容見たとき!!!?ってなって、ほんとあの、書かせてくださってありがとうございます;;そのくせ趣味しか詰めてなくてすみません;;
オズロック様がお気に召していらっしゃったのは!カレドショコラだったらいいなあって思います!カカオ70%激推しなのでオズロック様に似合うと思いますヒエエエ…
珍しいお菓子に目を白黒させたりするオズロック様というより、掛け合いがメインになったので会話がここ一年ぐらい書いたもののなかで一番多い気がします。実は会話書くの大好きマンなのですごい楽しかったです!
本当にありがとうございました!本当にいつもありがとうございます構ってくださってありがとうございます…!実は皐月様は暗殺でリクエストくださるのかなあ、とか思ってたのでオズロック様頂けてほんとにびっくりな上しどろもどろで困惑で嬉しすぎました;;
あと捧げ物の方にお約束のおまけ上げておきましたのでよろしければ!本当にありがとうございました…!