Brunch


「ほら 朝だぞクリスマスが逃げる」

「んー もっと寝かせて幸次郎…後クリスマスは逃げません」



駄目だ、と叩き起こされて起き上がる。幸次郎をよく見るともう出かける準備をしていた。時計の針は午前9時、もっと寝かせてよ! と叫んだが無駄だった。身体がふわっと持ち上げられて寝ぼけていた頭が一瞬で起きた。俵担ぎなんて大胆。流石帝国のキングオブゴールキーパーなんて思いながら担いだまま連れていかれる。


「あら、おはよう お二人さん朝からお熱いわね」


「あ、おはようございます幸次郎ママ」



幸次郎ママがうふふと笑う顔が見えなくなる洗面台まできてやっと降ろされた。



「歯を磨いて、顔を洗え」


「はいはーーーい」


「はいは一回だ」


「ほいさ!」


「はぁ お前は本当に…」


呆れられてるけど私は気にしません。歯磨きと洗顔をして部屋に戻って化粧を始める。幸次郎は本を読んでいる。









「おわったよーお待たせ」


「それでいくのか?」


「え?なにケチつけるの?変だった?」


鏡を覗き込むと後ろから幸次郎が近づいてきて鏡越しに目があった。



「可愛すぎて、心配だ」


本当に困った顔で言うもんだから恥ずかしくて目を逸らす、そして視線を鏡に戻す。鏡に映っている私、頬が少し赤らんでいた。





**





遅めの朝食をとるため幸次郎の家の前にある喫茶店に入る。温かいコーヒーとオレンジジュースを頼んで待つ間机の上で手を繋いで話をした。いつもの休日風景、だけど店内のお客さんのほとんどがカップルで皆私たちのように手を繋いでいたりキスをする時くらい近づいて話をしているカップル…ちょっと気恥ずかしい。そして女の子みんな髪も化粧も服も気合いが入っている、こういう女の子って今から戦いに行ってくる!みたいな雰囲気でちょっと面白い。女って大変だよね。わかるわかると心の中で呟いていた。



「朝からコーヒーはよくないぞ、しかも何も食べていないのに」


「いいじゃん、若いし大丈夫だよ」



「そういう問題じゃない」



がみがみ説教が始まる、説教されるのは嫌いではない。まるで子供を叱るように怒る幸次郎がなんだかお母さんみたいで内心笑っている。そんなところが大好き。



「お待たせいたしました」



若い女の店員さんがドリンクを運んできてくれた。



「何かご注文はございますか?」


「えっと、パスタAセット」


「じゃぁ私はパンケーキのこのセットで」



かしこまりましたと言い厨房の方へとオーダーを通す店員さんの後ろ姿をちらっと見てから幸次郎を見る、繋いでいる手がほかほかと暖かい。





*****



運ばれてきた料理を一口口に運んで外を見る、雪が降っていた。




「名前、雪降ってるぞ」


「わーーー!雪!!!」


「あ、こら 口から出てる出てる」



ぽろっとパンケーキが落ちた、それを払ってやると「ごめーん」とけらけら笑う▽その小さな子供みたいな表情が可愛くてついつい世話を焼いてしまう。



「ホワイトクリスマスだね幸次郎」


「本当だな、折角だし食べ終わったら少し散歩しいようか」


「それいい ありだね」


さっすが幸次郎!と笑う、あ またぽろぽろこぼしてる。





**




食べ終わり名前が化粧直しに化粧室へ行っている間鞄から袋を取り出す。中身はセーターとマフラーと手袋。どれだけ言っても防寒を全然しないのでプレゼントに選んだ。それをそっと椅子の上に置いて財布を取り出し伝票を持ち席を立つ。化粧直しが終わったのだろうこちらに戻る名前の姿。払ってくると言いすれ違ってレジに向かうと後ろから嬉しそうな声が聞こえた。



今日は素敵なクリスマスになりそうだ




Brunch
(私の心にぐいっと入ってきたあなたどこにも行かないで)


(2013/12/20)

LOVE GAMEのけーこ様より、クリスマスに頂いたものですー!
一人で眺めて十分にニヤついた…のもありますが、時期的にお互い色々あったせいで飾らせて頂くのが遅くなりました。申し訳ありません;そして本当にありがとうございます!

源田…源田ほんとに好きです…本当素敵過ぎてキングオブゴールキーパーかっこええ…サッカーボールになれるのなら源田にパンチングされて弾かれたいです…!素敵なクリスマスプレゼント、ありがとうございました!大事に飾らせて頂きます。