誰よりもあなたに教えてもらいたい事がある
あなた以外じゃ、意味ないから

好きの答え合わせ



「好きなタイプ?うーん…急に言われても分かんないよ〜」
早乙女学園Aクラスでは、恋愛禁止と分かっていてもやはりこの手の話題は尽きないもので、
朝、登校してから渋谷を初め聖川、一十木も興味津々でその話にかじりつく。
「そう?理想の話よ?」
「じゃ、じゃあ…音也君は?音也君はそういうのないの?」
好きな人はいるが同じ学校のため言い出すこともできず話題の中心を変えようとする。
「え?俺?俺は、一緒にいて楽しい子!それと、守ってあげたくなるような子がいいなぁ!」
「そ、そっか!友ちゃんは?」
「私は断然イケメン!あと、優しい人がいいな♪」
「友ちゃんさすがだよね」
と、苦笑しつつ、自分に回らないように、話を振っていると、
「なんの話をしてるんですか〜」
ぎゅっと後ろから抱きしめられる感覚に驚いて振り反ると、四ノ宮と目が合う。
お、おはようございますと赤くなりながら小声で呟くと、
名前ちゃん顔真っ赤です〜と言われる。

「な、那月君が突然ぎゅってするから、恥ずかしくて…」
「だって、名前ちゃんの可愛い背中が見えたからつい!」
ニコッと微笑まれる。
「ところで、なんの話だったんですか?僕も混ぜてくださいよ〜」
「あぁ、好きなタイプの話だ。四ノ宮は好きなタイプとかあるか?」
「僕ですか?うーん、ちっちゃくてかわいい子が大好きです〜」
「翔のこと…かな?」
「僕、翔ちゃんもだぁい好きですよ♪名前ちゃんの好きなタイプは誰ですか?」
「わ、私は…うーん?背が高くて…歳上で、優しくてお菓子に詳しい人…かなぁ?」
おずおずと言ってみると、音也に
「レンみたいな?」
と言われて驚いた。
「苗字、やめておけ!あいつだけはダメだ!」
と、聖川様に止められた。
「レンさま?優しいね!」
にこりと微笑むと、少しだけ抱きついていた那月の手に力がこもるのを感じた。

「ハイハ〜イ、ホームルール初めるわよ〜やだぁ、なっちゃんと名前ちゃん今日も仲良しね〜」
そういって、林檎先生が教室に入ってきた。
「そうですか〜」
そうとだけ言うとすんなり手を離し机に戻っていく那月を見て心が痛んだ。
(なにか、気にさわることを言っちゃったのかな?)

そうして、何も話さないまま、昼休みになった。
今日は雲ひとつない快晴で、Aクラスのいつものメンバーに加え、Sクラスのトキヤ、レン、翔も一緒に中庭でご飯を食べることになっていた。

名前達が行くと、もうすでにSクラスのメンバーは居た。
「お、遅くなりました…!」
春歌と名前が駆け寄ると、レンが真っ先に近寄り話しかける。
「今日はお誘いありがとう、レディ達と食事ができて嬉しいよ」
そういって、名前の手を握ろうとした
しかし、那月が名前を後ろにかばうように2人の間に立ちレンの手を握る。
「僕も嬉しいですよ〜」
「な、つき君?」
不思議そうに名前が問うと

「僕、やっぱいやです!名前ちゃん、一緒に来てください!」
レンの手を離すと名前に向き直り、手を引き走り出した。
「な、那月!?」
「おいおい、駆け落ちかよ…?」
呆然と2人の背中を見つめることしかできなかった。

たくさん走った。
でも、ペースは遅めで運動が苦手な名前にも着いていけるぐらいだった。
「な、那月君?どうしたの?」
声をかけると、ようやく振り返り、足を止めた。
「名前ちゃん、大事な話です!よく聞いてください。」
真剣な顔でそう言われ、息を飲む。
「名前ちゃんは、レンくんが好きなんですか?」
「え?」
突然すぎて展開についていけない。何を言っているの?
「答えてください、名前ちゃんの好きな人は、レン君なんですか?」
「違う…」
弱々しく首を振って見せる。
「それじゃあ、好きな人は居ますか?」
「………居ます。」
消え入りそうな声でそう呟くと、那月の顔を捉えて言う。
「私は…那月君が、好きなんです…あの日から、ずっと…」
叶わない恋だと決めつけて、泣きそうになりながら消え入りそうな声でそう呟く。
那月の顔見るのが恐くて、顔を伏せた。やはり、断られるのだろうか。
恋なんかしてる場合じゃない。アイドルの夢に向かって頑張らなきゃ行けないし…
たくさんいろんな事を考えた。沈黙の時間がとても長く感じられた。
恐る恐る口を開いてみると、声が重なった。
「ご、めんなさい…」「僕も」
「僕も、名前ちゃんが、大好きです…!」
驚いて顔をあげると那月に抱き寄せられる。
「僕も、名前ちゃんの事、好きです!大好きですよ!」
「本当、に…?でも、那月君、の…好きな人の、タイプ、全然…私と違ってた…」
涙で歪む視界と霞む声で一生懸命伝える。
「違ってません!ちっちゃくてかわいいのは、名前ちゃんだけです!…それを言ったら、僕も…自信ないです。」
抱きしめる腕に力を込める。
「那月君の事だよ?もう、那月君しか考えられないよ」
泣きながら微笑むと、少しだけ腕の力が緩んだ。

そっか、彼は不安なときに力を込める癖があるんだ。知ってたら、こんな思いしなかったのにな…



恋の痛みと嬉しさを教えてくれたのはあなただけ。
これから、もっとたくさんあなたから教わりたい





あとがき
題名ってなんだし!
那月君のお話でした!
ふと、思い浮かんだからガタガタ\(^o^)/
でも、そういうの好き☆
ここまで読んでくださってありがとうございました(*ノ▽ノ)





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