different



風に揺れる黒い髪。
長いそれがトレードマークの仲間。


草の上に座る彼の腕を掴んだ。


「輝二、ちょっと立って?」
「……何でだ」
「いいから!」


あたしに引っ張られながら輝二は渋々立ち上がった。
いきなり無茶苦茶言って迷惑かもしれないけど、特に気にしない。


向かいあって手で図って確認。


そしてにっこり笑って一言。



「輝二って、私より背小さいよね」


真っ直ぐだった眉毛が一瞬で曲がった。



「言いたい事はそれだけか」

「うん、それだけ」


ちょっと笑ったままで腰を下ろす。
輝二は相当怒っているのか、立ったままで草原の向こうを見つめていた。


話すような事もなかったから、同じように草原を眺めた。

時々、こっそりと横を盗み見る。


輝二より背が高いって事を確認して、
あたしは何がしたかったんだろう?


輝二が視界に入るたびに、胸がもやもやしてひっかかるような感じになる。

怒らせたくせに謝りもしていないけれど、罪悪感とは違う。




……これは何?



おい、と声が聞こえたから顔を上げると、しかめっ面がまだあった。


「拓也達が呼んでる、いくぞ」
「じゃあ、手貸して」


宙に右手を投げ出す。

さっきから何なんだこいつ、
とか言いたそうな目で見られたから、断られると思う。



けど、手は強く引っ張られていた。

一瞬で身体は起き上がって、手もすぐに離れた。




今度は何も言わずに去っていく彼の後ろ姿を呆然と見つめる。



輝二の手は、あたしのよりも少しだけ大きかった。




いつもそう。



身長はあたしより小さいのに


貸してくれた上着や、
怖くて思わず掴んだ肩は、

あたしより大きい。




触らないとわからないくらいのほんのちょっとの違いだけど、確かに違う。


(身長を確かめたのは、ちょっぴり悔しかったからかも)







その違いに気づく度に、

頬が、胸が熱くなるのは何故?


――今のあたしみたいに。



***


綺翠様

主催させて頂いております、綺翠です。
輝二は泉より身長が低いという設定から生まれたものです。
(描くときは完全に無視ですが、笑)

ここでは泉視点ですが、輝二も身長を気にしている事がわかって頂ければ嬉しい限りです…!

二泉は永遠の燃えです!
二泉いずジャスティスー!





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