波乱万丈 | ナノ

暇だからと言って勝手に出歩くな




 名前side


あたしは、あれから学園長の庵で泣いた。
先生方の前で、小さい子供のように泣いてしまった、と思うとかなり恥ずかしい。
泣いてる時、自分が小さい頃の事が目に浮かんだ。


「名前さん、此処が…ってちゃんと聞いてますか?」

『! えっ、?』

考えごとをしていたから全く聞いてなかった。

「聞いてなかったんですねι」
と、溜め息混じりに言われた。
考えごとしてたんです、すみません。



「此処が名前さんの部屋です。因みに此処は6年生の長屋です。上級生には十分に気をつけてくださいね!絶対ですよ!!」


何故2回も言うのだろう。
その上級生とやらは、どんくらい危険な人間なんだと、心の中で少なからず思ったことは秘密にしておこう。


『はーい。あたしの部屋は6年生の長屋でもし上級生に出会ったら即、殴りかかってもいいよーってことですね』


「いや、殴らないでください。ほんとに話聞いてましたか?」


『冗談ですよ冗談!気をつけろってことですね、了解しましたっ』


「それと、紹介するのを忘れてましたが、私は1年は組担任の土井 半助です」

『土井先生ですね!あたしは多分知っての通り名字 名前です。気軽に名前って呼んでください。あと土井先生は年上なので敬語じゃなくて結構ですよ』


「あぁわかった。それじゃあ私はこれから授業があるからもう行くとするよ。名前の荷物は個々に置いておくから」


そう言って土井先生は部屋の戸のそばに置いた。


『ありがとうございます』

「それと、部屋の中で大人しく待っておくことだ。いいな?」

『わかりました〜。あっ上級生が来るかもしれないから?』

「そういうことだ」


またな、と言って土井先生は部屋の中から出て行った。
気が抜けたのか、あたしはペタンと床に座り込んだ。


『…………………暇。』

そう、
かなり暇なのである。
超殺風景な部屋に女の子1人置いてなにをしろと言うんだ。


『……狽ヘっ、携帯!ふっふっふー最初から携帯を出さないなんてもの凄く馬鹿じゃないかあたしはー!』


パカッと携帯の画面を開いて見る。
…………って圏外かよ!!
なによっ期待したあたしが馬鹿みたいじゃないか!
そう言いながら携帯を床に投げつけた。

それもそのはず、
弟に「姉ちゃんね、しばらく帰って来られないみたいだから毎週ジャ○プ買っておいてね。あっドラマとアニメもね?
あと、ご飯はちゃんと栄養のあるのを食べないと逆エビの刑だから!姉ちゃんの逆エビの刑がどれほど怖いかアンタにはわかるでしょ?
それと風邪には気をつけなさいね!」
ってメール送ろうと思ったのに…!!

おま、ジャ○プとアニメとドラマ見ないでなにをしろと!?


……あっ、鞄の中に豆腐とお菓子入れたまんまだった!
冷蔵庫に急いで入れないと豆腐腐ってしまうよ!!

確か、学園長が明日から事務員として働いてもらうとか言ってたような…。

土井先生には部屋から出てはダメだとかなんとか言われたが、出たくなるのが人間の本能だ。

土井先生にキツーく言われたが、それは…仕方ない、うん。
よし、あたしはなーんにも聞いてない。
神様があたしに行けと、そう言ったんだと言えば土井先生もきっとわかってくれるはず。
うん、それで行こう。



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