ナンパやカツアゲする時は言葉をえらべ
『…………………。ん?』
目を覚ますとそこは…
なにもない、緑の木々が沢山生えている森、又は山のようなところだった。
もう一度目をこすって確認してみた。
………あれ、ここ…何処!?
もう一回言っていい?
此処、何処なわけ!?
よーし、今日の1日を振り返ってみましょう〜パフパフーっ♪
朝、5時に起床→布団からでて顔を洗う→弟と自分の弁当、朝食を作る→朝食が出来上がった所で弟の部屋まで行き叩き起こす→そして弟と共に学校へと旅立つ。
昼、→授業が終わり弁当を食べる→食べ終わったら図書室へ本を読みに行く→そして放課後、時間いっぱい図書室でまた本を読みに行く→学校帰りにスーパーで今日の夜食を買う。
夜、→スーパーで買った食材で夜食を作る→弟帰ってくる→買い忘れたものがあり1人でまたスーパーへと向かう→帰ってくる途中で猫がトラックにひかれそうになりそれを助けようとする→そっから記憶ない。
だったはず。
ん?待てよ…、猫がトラックにひかれそうになって猫を助けるために飛び出したはいいが、なんで記憶がないんだ?
手元にあるのは鞄とスーパーで買った豆腐3丁とお菓子。鞄の中をあさって見てみると財布、携帯、学生証、後はお菓子(チョコとか兎に角いっぱい)。
…どうやって生活しろと!?
目が覚めたら訳のわからぬところにいて、しかも制服のまま倒れてて……
誰になんと言ったらいいんだ!?
弟に、『あのね、姉ちゃん目が覚めたら森みたいな山っぽいところにいたんだ〜』って言うとすると、
弟は絶対と言っていいほど「姉貴、精神科行ってきな。俺もついて行くからさぁ…」の一言+痛い子&汚い物をを見るような視線だね、うん。
こんな出来の悪い姉ちゃんでごめんね、うぅ…
そう考えてると、突然変な輩があたしの目の前に現れた。
「へへっそこの姉ちゃん変わった格好してんなァ。とりあえず金目のもん全部置いてきな」
「ほんとだぜ兄貴ィ!南蛮の格好みたいでっせ!兄貴の言う通り金目のもん置いてきな!」
…どうやらあたしは俗に言うナンパとカツアゲいうものをされているみたいだ。
「しっかしこの姉ちゃん、上玉じゃねーか!身体のほうはちょいと貧相だが高く売れるんじゃねーか?なぁ?」
「へへっ、そりゃあ売ったら1週間遊び放題ですぜ兄貴ィ!」
「そうだよなぁ!よしお前らこの姉ちゃんを捕まえろ!此奴ァ上玉だから高く売れるぜ」
聞いてると、変な格好だとか、金目のもん置いてけだとか、上玉だとか、高く売れるとか、身体は貧相だとか、捕まえろとか、言いたい放題言いやがって。
身体が貧相だぁ?
別に貧相な身体になりたくて生まれてきたわけじゃねーんだよ、糞が。
しかも売ったら1週間遊びたい放題ってなんか少なくないだろうか…
せめてさ、1ヶ月とかお世辞でも言わなきゃ。←
こっちはもっとピッチピチでナイスボディなお姉ちゃんになりたかったよ!!
切実に!!!
こう、胸はボンッでお腹はキュッんでもってお尻はボンッ!!
うはぁぁいいね!!!☆
ボンッキュッボンッ♪
理想の体型だわ…
今のあたし、キュッボンッボンッだからさ…なんの色気もないわι
あー、言ってて虚しい。ほんと虚しい。
「こいつ、怖くて動けないってか?」
「ヒャヒャッ、いいねえいいねえ!!」
「おっどうしたどうした?もしかして大人しく着いてくるきになったのkふごっぉ!?」
「あああ兄貴ィ!?」
「貴様ァ、兄貴になにしやがる!!」
『えっなにって、そりゃあ…聞いててむしゃくしゃしてたから股間蹴りました。てへぺろ』
「兄貴大丈夫っすか!?」
「だだ大丈夫なわけあるか!あいつのせいで俺の息子が使い物にならなくなっちまったじゃねーか!!もうあの女はいい!殺せ野郎共!!」
「「「「おぉーー!!!」」」」
むしゃくしゃしたから兄貴という奴の股間を思いっきり蹴り飛ばしたら、今度は殺せという単語が聞こえてきた。
殺せだなんて、あたしまーさーかーの死亡フラグ!?
訳のわからぬところで死ぬなんてまっぴらごめんだ!
弟を残してあの世に行ったらまた弟に寂しい思いをさせたくない!
▼逃げる
▼大人しく捕まる
▼とりあえず土下座して謝る
▼また股間蹴って粉砕させる
の4択しかないことは確かだ。
だが、身を守るとなったら逃げるしか手はないことは確かだ。
だから逃げるしか方法はない。
そう考えたあたしは、スーパーで買った豆腐をスクールバッグに直し、1人の男を思いっきりバッグで殴って行き場もわからない夜の山を必死に駆け回った。
何回も何回も転び、立ち上がってはまた転ける。
幾度も繰り返していくにつれ、体中が悲鳴を上げているようだった。
あたしは、意識をなくして道端に倒れた。
***
「…伊作、あっちの方向やけに騒がしくないか?」
「言われてみれば確かに騒がしいね」
「とりあえず一旦学園に向かって、騒がしい場所に向かうとするか」
「うん、そうしよう」
留三郎と僕は、忍術学園へと向かった。
すると、倒れている人影が見えた。
僕と留三郎は急いでその人に駆け寄った。
「おいっ大丈夫か!?伊作、こいつ息してねぇし怪我も酷いし…なんとかなんねぇのか!?」
「ほんとは此処で治療したいけど、もう夜は暗いから学園で手当てするしか方法ないよ留三郎!」
「あぁ。集合場所まではそんなに時間はかからないから急いだら間に合うはずだ!
伊作、俺がソイツをおぶって行く」
「任せたよ留三郎」
傷だらけで倒れている彼女を見つけた僕と留三郎は急いで学園へと向かった。
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