波乱万丈 | ナノ

寧ろヒョロヒョロしてる





そう言えば土井先生が言っていた小松田君って、どんな人なんだろう。

怖い人だったらどうしようか…
例えばヤクザみたいな怖い人だったら。
金渡さんかい!!てきなこと言われたらどうしよう。





「あっ、君が新しく入った事務員さんですかぁ?」


………………、
ヤバい後ろから話しかけられた。
こういう時はどうしたらいいの土井先生!!
あたし殺されるかもしれないぃぃい!!

だって、ここって忍者を育てる学校なんでしょう!?
超!!危ないじゃん!!!!

どうしよう…。
未だに後ろを振り向けられない。

ここはもう思いきって言ってみますかね!

『なんか貴様(きさん)んんん!!』


「うわあぁぁっ!!もうっビックリさせないでくださいよ〜。
あっ僕は事務員の小松田 秀作です。
よろしくお願いします」


もの凄くビックリさせてしまった。
ていうか、ヤクザみたいな感じだと思ったら全然違った。
寧ろ、ひょろひょろしてる。
いや、その…こんな人もいるんだね。

ヤクザみたいな人だと想像してた自分が馬鹿馬鹿しく感じた。

ていうか、よく考えたらこの時代にヤクザなんてヤツはいないよね!

生まれて初めてナンパとカツアゲを両方されたけど…あっ、きっとこの時代のヤクザは盗賊って思ったらいいってことなのか。


つーかさ、…………這 えっ!?この人今、小松田って言わなかった?

えっ空耳?
まさか野菜の小松菜と聞き間違えちゃった感じなの!?
そそそんな馬鹿なことあるわけない!!


『………ι、小松菜さん‥ですか?』

「もうっ小松菜じゃなくて小松田!」


『…でででですよねーι えっと、名字 名前です』


やっぱ間違ってなかったよ!!
いや、でも小松田と小松菜は似てるね、うん。
きっと、あたし以外に小松田君を小松菜君と聞き間違えて呼んだ人が1人くらいいるはずだ。
うん、そう願いたい。


『えっと…その、小松田君?』

「なんですか名前ちゃん」

『事務の仕事って、なにをしたらいいんですか?』


「うーんと僕は入門表や出門表にサインを書かせてます!そうだ、名前ちゃん。入門表にサインお願いします!」


何故だか小松田君に、はい と手渡されたものは、入門表と書かれた紙と筆を渡された。

現代、というか平成では字を書くときは筆を使わないで、シャーペンやペンなどで書いてるから、筆なんてあまり扱ったことない。

筆を使うのって習字の時以来だなぁ。
なんて思ったのは言うまでもない。

でも、この時代(世界)はシャーペンや鉛筆なんてものはなくて、筆を使って字を書くってことが当たり前なんだろうな。



『えっと、書きました』


「ありがとー」


入門表に名前を書き終わり、先程渡された入門表と筆を渡した。



「わぁっ名前ちゃん字きれいなんですね〜!汚いのかと思ってましたぁ」


えっ、なにこの人。
貶してるかわからないんだけど。


『……小松田君あなた失礼ですね!女性に向かって何歳ですか?って言うぐらい失礼ですよ、ほんとに』


「冗談ですぅ。名前ちゃん冗談が通じない人なんですねぇ」


なにこの人。
あたしのこと見下してんの?


『……小松田君は、どうして入門表や出門表にサインしてるの?』


「よく聞いてくれました!それは僕が…」

「小松田君!此処にいたんですか?探しましたよ全く!!」

「わぁぁあぁぁ、ごめんなさいぃぃぃ!」

「目を離した隙にどっかに行くなんて!
小松田君に掃除を頼んだ私が馬鹿でした。ん?あなたは…」


小松田君が答えようとすると、黒の装束を着て繋がった眉毛やヒゲが印象的な人が小松田君を叱った。
そして咄嗟に誤る小松田君。

ていうか小松田よ、掃除頼まれたのにしてないってどういう事なのよ。

あっ、そうだ自己紹介しなきゃ。


『えと、今日から事務員として働く名字 名前です』


「あぁ朝礼で学園長が言っていた人でしたか。ゴホン、
えー私が道具管理主任を任されているy」
「吉野先生ですぅ」

『………………………。』


なに勝手に言ってんの小松田君んんん!?遮るの、ダメ、絶対。

そんなことしたら絶対に吉野先生は小松田君に激怒するに違いない!!!

ほら見てよ!吉野先生のお顔を!!!
もう完全に怒っているよ!


「小松田君。どうしてあなたはいつもいつも私の邪魔をするんですか!!」

「ひぃぃいぃぃ、ごめんなさいぃぃ!!」

『ももももう一回、自己紹介お願いしてもいいですかぁぁあ!?』



「名字さんがそこまで言うなら、してあげますよ。
用具管理主任の吉野 作造です。
わからないことがあれば小松田君…いや私に聞いてください」


『わ、わかりました』


「吉野先生、酷いじゃないですかぁ!僕だって名前ちゃんに事務の仕事を教えれますよぉ」


「なにを言ってるんですか小松田君!
ろくに頼まれた仕事も出来ないのに任せれるわけがありませんか!
小松田君はいつもの、仕事をしていてください!」


「わっかりました〜」


そう言って小松田君は、ほうきを片手にどこかへ去って行った。








 ***



「名前ちゃん、事務の仕事覚えるの早いねぇ」


「小松田君も見習ってほしいぐらい優秀ですよ名字さんは」


『ありがとうございます。 あっ、あたし そろそろ食堂に行かなきゃいけないんだった!それじゃあ、失礼します!』


そう言って夕餉の手伝いをするために食堂へと向かった。




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