波乱万丈 | ナノ

すっかり忘れてた



 ***


「××!! 名前!朝だぞ」

『んぅ、土井‥先、生?』


目を開けると土井先生が自室にいた。
どうしてここにいるのだろうか。

そういえば昨日言ってたな。
明日――があるから起きておくんだぞ。
って土井先生に言われたような………


『…這 はっ!! 朝礼だっ! ヤバいよ!すっかり忘れてたーー!!!』


「!! ぅぐっ…!!」

『あっごめんなさい土井先生!!大丈夫ですか?』


朝礼があることを思いだし勢いよく飛び起きたら、あたしの頭が土井先生の頭に当たってしまった。

うぁー痛そうですね先生。
ごめんなさい、反省してます。


「いや大丈夫だ。はぁ…やっぱり寝ていたか…」


『…いやぁあまりにも布団の居心地がよくて。わざわざ起こしに来て下さってありがとうございます。 朝礼って…、あの、まさか終わって、ない‥ですよね?』


「いや、もう少しで始まるところだ」


『這 ちょっ!? マジですか! えーっなに着て行こうかなぁ……って言っても制服しかないんだったよ忘れてた』



「今日はこの格好のままでいいと学園長がおっしゃっていた。それと、名前が持っていた荷物も一緒に持ってきてほしいそうだ」



『……じゃあ、いつでも出れますよね。この格好なら』


「まぁそういうことだ。さて、朝礼に間に合わないから急ぐとしよう」


『!! //// …えっと これはどういうことなんでしょうか土井先生』


そう。あたしは所謂お姫様抱っこされていたのだ。
この歳になってこんなことされると流石に恥ずかしい。
簡潔に言えば顔から火がでそうな感じだ。


「名前、朝礼が終わったら事務員の小松田君のところに行くといい。
それと、いろいろ大変なことがあるかもしれないが 気を落とさずに頑張るんだぞ」


『?? よくわかりませんが小松田君って方に事務のことを聞いたらいいってことですね!
わかりました!』

「……………。」


この時、土井先生が顔を青ざめて言ったことが本当に当たるなんて思ってもいなかった。





  ***


さてさて、
土井先生にお姫様抱っこをされたお陰で、朝礼に間に合うことができた。

そして今あたしは例の朝礼に参加しているのである。


「今日から新しく事務員になる名字 名前じゃ。変わった格好をしておるのは後ほど彼女に聞くとよい。名前、自己紹介をするんじゃ」

『はい、』


――学園長のベラベラと長い話を終えて、ようやくあたしの紹介に入った。

学園長が言ったと同時にみんなの視線がこちらへと向いた。

そんなに見られたら物凄く恥ずかしい。
お願いします見ないで欲しいです。

そっそんなに見られたら…、


『ええええっーと、みっ皆しゃん!
ははは初めましてです!今日から事務員として此処で働くことになった名字 名前です!
偶に食堂でお手伝いをしたりしますので見かけたら話かけてくれたら嬉しいなぁなんて思います!
えっと、その、よろしくお願いします!』



  しーん…。



うぉぉおぉぉあぁ恥ずかしいぃいぃ!!!物凄く椅子を振り回したい気分なんだけどぉぉお!

初っ端から どもって変なところで噛んでしまったり、と。
あぁぁあぁもうっ恥ずかしいったらありゃしない!!!

しかも挙げ句の果てには、辺り一面しーんってしらけたり中には笑いをこらえてる人もいたりもう最悪ーー!!!

うわぁぁあぁあん!!!
もう嫌ぁぁぁ!お家帰りたいっ!
恥ずかしすぎて今なら死ねるかもしれないぃぃぃいぃ!!



「というわけじゃ! これにて朝礼を終わりとする。では解散じゃ!」


学園長はそう言いボンッとヘムヘムと
ともに消えた。

うぉぉおぉぉおぉいぃぃ学園長!!!
なんで暢気に解散なんて言っちゃってんのぉぉおぉぉ!?
しかも、ボンッて消えたりしてさ!!
どうせなら、あたしも一緒にボンッて消えたいよ切実に!!



……………は、ははは。ままままぁ?過ぎたことはしょうがないし?


とりあえず、土井先生が言っていた小松田君って人のところに行こうかな。


土井先生、小松田君って人のこと話してた時、顔が真っ青だったなぁ。

昔いじめられてたとか?(笑)
あははははっ、ないないない土井先生に限ってそんなことはないだろう。

あっそれか、すっごく問題児すぎて頭が回らないとかあるかもしれない。






 ―――



「(ふっ、面白そうな奴が入ってきたな)」

「(それにしても格好が怪しすぎる。しかも女であろう者が南蛮の着物の丈が短すぎるわっ!!いろんな意味で納得いかん!!!)」


「(煩いぞ文次郎!)」


「(余計なお世話だ!)」


「(………………もそ)」


「(ん、なんだ長次? あまり詮索はしないほうがいい。だそうだぞ仙蔵に文次郎)」



――後ろで数人の少年がこちらを見ていたとは気づかずに。






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