今の時刻は寅の刻。
あたしは眠い身体を起こし、食堂へと向かっている。

あれから、食材を買いに1人で町まで行った。

予想以上にいっぱい買ったので1人では持って帰るのが無理だと思ってたら、
一年は組のよい子達、乱太郎ときり丸としんべえがいたので荷物を運んでもらうのを手伝ってもらった。

お礼になにか作ってあげようかな…

そう考えていると、食堂に着いた。

中を覗くとおばちゃんがみんなの朝餉を作っていた。


『おはようございます、おばちゃん』


「あら、おはよう名前ちゃん。そういえば今日はお花見ね」


『はい!おばちゃん手伝います』

「あらあら、いいのよ!」

『あたしが手伝いたいんです』

おばちゃんに言うと、「じゃあ、そこの大根を切ってちょうだい」と言われたので、すぐさま手を洗って言われた通り大根を切っていく。

時折味噌の匂いがしているから大根のお味噌汁でも作るのだろうか。

おばちゃんの料理はどれも絶品だ。




 〜30分後〜

「ありがとね名前ちゃん。手伝ってくれたおかげでいつもより早く終わったわ」


『いえ、そんな!おばちゃんが手際よく教えてくれたから』

「なに言ってるの!もう名前ちゃんに教えることなんてなに1つないんだから」

『まだまだ、覚えることはたくさんあります』


「あら。じゃあ、また今度手伝ってもらおうかしら!
名前ちゃん、火には気をつけてちょうだいね」


『はい、わかりました』


おばちゃんはそう言って食堂からでていった。


***

さて、弁当でも作るか。

長い髪を一つに纏め調理に取りかかった。



 ***


ちょうど辰の頃。
お花見に行く料理が完成した。

先輩達がいっぱい食べると思い、沢山作った。
特に、六年生あたりが沢山食べそうだ。
育ち盛りすぎるからι



コツコツと足音が聞こえて来る。
多分こちら(食堂)へと向かってきている。


『おはようございます、留先輩』


「名前か!?お前こんなところでなにやってんだ?」

足音の正体は用具委員長の食満 留三郎先輩。
子供(小さい子)がかなり大好き。

いつか、大きな犯罪をおかしそうで怖い。

急に話しかけたからかなり驚いている。


『なにって、お花見の時の弁当を作ってるんですよ』


「あーそういえば昨日学園長が名前に言ってたな。
名前、お前さっき失礼なこと考えたろ?」


『思ってません。あっ良かったら味見してみてください』

「俺なんかでいいのか?」

『はいっ!』


「ありがとな」


そう言ってニコッと笑う食満先輩。
相変わらず笑顔が眩しいこと。
あたしはお箸を渡すと先輩は玉子焼きを口にした。


『どうですか?』


「美味いな!」


『ありがとうございます!沢山作ってあるので是非食べてくださいね』


「ああ」


『いえいえ!では、また後で』


そう言い、私は調理場へと戻った。


さて、料理は完成したはいいがお菓子はまだできていない。

集合まで2時間はある。
間に合うか間に合わないかが問題だ。

うーん…なんにしよう。
そうだ、桜餅とかいいかもしれない…
ちょうど桜も満開に咲いているころだし、なんたって今日は上級生とのお花見だ。

うん、桜餅にしよう!!

あ、三色団子なんかもいいかもな…じゃあ、桜餅と三色団子にするか!

そう思いながら、作業にとりかかかる。


巳の刻、
ようやく花見に行く時の和菓子が完成した。

もう少しで集合の時間だから、そろそろ行くか。
風呂敷に弁当を包んでいると、後ろから声が聞こえた。


「あれ、名前ちゃんこんなとこでなにしてるの?もう少しで集合だよ?」


振りかえると、五年生の雷蔵先輩と鉢屋先輩がいた。


『あ、雷蔵先輩と鉢屋先輩』


「やはり名前には見破られてしまうな」


『なんか雷蔵先輩と雰囲気が違うので…
あの、雷蔵先輩と鉢屋先輩、これ運んでもらってもいいですか?1人じゃ運べなくて…』


「うん、大丈夫。こういうのは男の仕事だからね」


「名前、貸し1な」


雷蔵先輩はニコッと笑い、弁当が入ってる風呂敷に手をかけた。
鉢屋先輩はというと、貸し1をどんなのにするか考えてる。


「三郎、考える暇があるなら手を動かそうか」


『鉢屋先輩。思いついた時で大丈夫です』


「わかった」

あたしがそう言ったら、鉢屋先輩も納得して弁当や和菓子が入っている風呂敷を手に取り、雷蔵先輩、鉢屋先輩とともに集合場所へと向かった。


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