『…………あ、あつい』


外を見ればまだ日は出てなくて辺りは真っ暗で、鈴虫の鳴き声がどこからか聞こえてくる。

隣では佑希望がスヤスヤと気持ちよさそうに寝ていて、そんな佑希望に苛立ちを感じながらも外にでた。


『あ、綺麗な満月だ』

空を見上げるとまん丸な満月がでている。

こんなに綺麗な満月がでているなら、佑希望を無理矢理にでも起こしとけば良かったなと思いつつ、いつも2人で座ってる石に腰をおろした。


「こんな真夜中になにやってんだ」

『わっ!なんだ三郎か…』

びっくりして後ろを振り向けば、そこには寝巻き姿の三郎がいた。


「なんだじゃないだろ。
1人でなに、黄昏てるんだ」

『暑くて目が覚めたの!
見てよ今日の満月はまん丸で綺麗!』

「狼になりそうな満月だな」

『こんなに綺麗ならお団子でも作ってみんなで集まれば良かったなあ』

「そうだな」

そう言って三郎は、あたしの隣に座った。

「あした、」

『え?なに??』

「あした、団子でも作って月見でもするか」

『三郎がそんなこと言うなんて珍しいね』

「うるさい」

明日は槍が降るかも、なんて言えば三郎が頭を叩いた。

『急に叩くなんて酷い』

「麻衣がそんな事言うのが悪い」

『……三郎、今日の夜もこんなに綺麗な満月がでてるといいね』

「ああ。
もうそろそろ戻るか」

『えー、まだ帰りたくない』

「つべこべ言わずに行くぞ」

『ぎゃっ急に引っ張るな!』


急に引っ張られて躓きそうになりながらも三郎はズカズカ先頭を歩く。

三郎に握られて手は温かかった。







(ちゃんと寝ないとここ成長しないぞ)
(はっ余計なお世話)
(佑希望と並んで悔しくなるだろ?)
(……まだ成長途中だからいいの!)




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