虹の終わりmemo | ナノ

【呟き】+夢の話

夢を見ました。

お布団に入ってお目目を瞑ると、気まぐれに開演される方の夢です。


アンパンマンが出てきました。

なんとトリコさんと小松君も出てきました。

その上、ココさんとキッスに上空で出会いました。


こうなったのはきっと、昼間に姪っ子とアンパンマンの映画を見たからでしょう。

こうなったのはきっと、夜寝る前にトリコの1〜21巻までを読んだからでしょう。

(何故21巻かと言うと、気が付けば寝落ちしていたから)


登場キャラの豪華さに比べて、すごく地味な夢だったけど、私はやたら楽しかったです。

でも夢ってすぐに忘れちゃう。

『……もんのすんごい夢見た気がするのに、忘れちゃった。あぁ、もったいないなぁ』

なんて思うこともしょっちゅう。

なので、忘れないように、ちょっと書き起こしてみました。



※方言等は直していますが、基本的にただ私が見た夢の中のお話です。




* * * * * * * * *

【以下、アンパンマンとトリコさん達が出てくる、ただの夢の話】

* * * * * * * * *






――深い森の奥。

巨大な木々に囲まれ、生い茂る葉のせいで太陽の光もろくに当たらず薄暗い。

気が付けば、私はたった一人でその場所を彷徨い歩いていた。

「早く、帰らないと……夕方には会社の郵便を出さないといけないのに」

異常な事態にも関わらず、会社に残してきた仕事が気になって半泣きの私。

だけど、いくら歩いても森が続くばかり。

しかも、ずっと“何か”の気配を感じている。

シン……と、静まり返った森。

思えば、こんな深い森なのに、何も音がしないのはおかしい。

藪から何かが飛び出してくるわけでもなく、動物や虫の声も聞こえない。

でもずっと“何か”の気配だけが私に付きまとう。


「――……殺されるっ」


何故かそう瞬時に察した私。

ギャーギャーと泣きながら森の中を駆けまくった。

すると、ようやく木々が開けてきて、日の光が当たり始める。

泣きながら空を見上げる私。

その時、遠くの空から何かがコチラに向かってくるのが見えた。

大きくて丸い顔……赤い服……ひらひらと靡くマント。

その物体は真っ直ぐにこちらに飛んできて、私の目の前に降りた。

――よく見知った馴染み深いその風貌は、実際に対峙してみると、思いのほか大きかった。


「やぁ、ボク、アンパンマン」


爽やかで優しげな笑顔の彼――アンパンマンは、私にそう声をかけてくる。

その瞬間、私はよろよろと膝から地面に崩れ落ちた。

アンパンマンはそんな私の肩をすかさず支えてくれる。

暖かなその腕は、ありえないほどの安心感を放っていた。


「どうして、ないているの?」

「ここが、どこだかわからなくて……とにかく会社に戻らないと」

「そっか……」


しかし、私の話を聞いたアンパンマンも困った顔をしている。

聞けば、アンパンマンもここがどこなのか解らないらしい。

とにかく私の泣き声が聞こえて、ここまで飛んできてくれたんだそうだ。


「アンパンマンありがとう、ごめんね……」

「いいんだよ、気にしないで」

「でも、アンパンマンが居るだけで元気100倍だ」

「ふふふ。さぁ、ボクと一緒に帰る方法を見つけよう」

「うん!」


アンパンマンに元気をもらった私は、勢い良く立ち上がる。

アンパンマンの背は、私よりも少し低いくらいだったが、大きな頭の存在感に頼りがいを感じた。


「キミ、おなかすいてないかい?」

「え……?」

「良かったらボクの顔を食べなよ」


優しいアンパンマンの言葉に、私は迷う。

確かにスベスベのツヤツヤ、ふかふか柔らかそうなアンパンマンの顔は美味しそうだ。

でも、食べたりしたら――彼は力が足りなくて空を飛べなくなるんじゃ……?


「ううん。お腹空いてないから、いいよ!」


何が起こるか解らないこの場所を不安に思う私は、彼の申し出を首を横に振って断った。


「お腹がすいたら、いつでも言ってね」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、ボクの背中に乗って。空から町を探すんだ」

「え。私、重たいけど……」

「ふふふ、大丈夫だよ」


アンパンマンは宙に浮かび、私が乗り易いように背中を向けて、低い所で止まってくれる。

私はハラハラしながら、彼の背中に跨った。

そのまま、ふわりと上昇する彼の体。

地面からゆっくり離れる私の足先。


「怖い、怖い怖い怖いぃぃい!」

「しっかり掴まってて」

「うううう、うん!」

「大丈夫だよ。絶対にキミを落としたりしないから、安心してね」


アンパンマンの安心感溢れる台詞を信じて、私はへばりつくように彼の背中に掴まる。

スィーッと上昇するアンパンマンと私。

次第に森を遥か下にし、眩しい程の青空と、どこまでも続く自然が視界に広がっていく。


「すごい!」

「ふふふ。じゃあ、行こうか」


アンパンマンと私はそのまま空を飛び、辺りの探索を始めた。

すると森が途切れ、高原が見えてくる。

広い高原に目を凝らすと、二つの影が見えた。

アンパンマンもそれに気が付いたのか、その影を目指して少しスピードを上げた。

次第に二つの影が近くなっていくと、それが人なのだと分かる。

おっきい人と、小さい人だ。

おっきい人は赤い服を着て、目の冴えるような真っ青な髪。

対照的に小さな人は、緑の服に、黒くて短い髪をしている。

その瞬間、私はあの二人が誰なのか予想がついてビリビリと電流が走ったようになった。


――トリコさんと小松君だ!


私のソワソワした様子に、アンパンマンが気が付く。


「キミの知ってる人?」

「あ……いや、ううん」


私は咄嗟に誤魔化す。

だって私の方があの二人を知っていても、向こうは私のことなんか知らないだろう。

そうこうしていると、トリコさんが近づく私たちに気が付いて、上を見た。

続けて小松君もこちらを見上げる。

アンパンマンは降下をはじめ、私を気遣いながら、ゆっくりと地面に降りた。

突然空から降りてきた私たちに、トリコさんと小松君は目を点にして驚いてい様子だ。


「なんだ、お前ら」

「やぁ、ボク、アンパンマンです」

「アンパン……って食えるのか、お前」


一瞬にして、トリコさんの目が獣の光を宿す。


――まずい気がする。


私は慌ててアンパンマンの前に飛び出した。


「いえ、あの、私たちは道に迷っただけで! その、○○って会社を探してるんです!」

「あ、○○ですか? 確か南の町にある地下鉄に乗ればいけますよ」


小松君がそう説明してくれる。


――あれ? 私の町って地下鉄なんてあったけ?


そう一瞬疑問に思いながらも、私は小松君の言葉を信じることにした。

小松君がそういうなら、きっとそうなんだろう。


「で、お前食えんの?」


しかしその間にもトリコさんはアンパンマンにじりじりと近づいていた。

ギラギラしたトリコさんに対して、アンパンマンはニコニコと笑顔のままだ。


「キミ、お腹が空いているの? 良かったらボクの顔を食べなよ」

「ダメ! 飛べなくなるよ!」

「大丈夫、これくらならボクは平気だよ」


そういってアンパンマンはパコッと自分の顔を千切った。

私は一気に血の気が引く。


……そんな、だって一口でもトリコさんがアンパンマンを口にしたら。


しかし、私が止めるよりも先に、トリコさんはアンパンマンの顔から生まれたアンパンを口に入れてしまう。

トリコさんは実に美味しそうに、もぐもぐと咀嚼する。

私はその隙に、アンパンマンを自分に引き寄せてトリコさんから距離を取った。

突然の私の行動にアンパンマンは少しびっくりした顔をしているが、私はトリコさんの様子を見るのに必死だ。


ごくり、と咀嚼を終えたトリコさんの喉が鳴る。

トリコさんは恍惚の表情を浮かべ、次に大きな声で


「うめぇーー!」


と、叫んだ。

その声のあまりの響きに、遠くの方で動物たちが逃げる音や声が聞こえる。

私はギュウッとアンパンマンの服の裾を掴んだ。


「そんなに美味しかったんですか、トリコさん」


トリコさんの反応に、小松君が目を見開いた。


「おう! ……なぁ、もっと食っていいか!?」

「キミ、そんなにお腹がすいてるの?」

「……アンパンマンッ!だめ!」


私は両手を広げてアンパンマンを隠す。

――このままじゃ、絶対に全部食われる!


「ダメだよ! アンパンマンは顔が無くなると飛べなくなるから!」

「いいじゃねぇか。な?」


しかし、トリコさんはジリジリとこちらとの距離を詰めてくる。

ハンターの目だ。

私はぶるりと震える。

するとアンパンマンが後ろからヒョッコリと出てきた。

私は『きちゃダメ』と、首を横に振る。

だけどアンパンマンは引かない。


「ボクは大丈夫だから、危ないから、キミは下がってて」


真面目な凛々しい顔のアンパンマンは力強い。

だけど私は再び首を横に振った。

その時、シャリンッという金属の擦れる音がトリコさんの方向から聞こえてくる。

トリコさんを見ると、手をフォークの形にしていた。


――本気だぁ!!


あまりのトリコさんの本気具合に私は、恐怖で足がぶるぶると震える。

そんな私を庇うようにして、アンパンマンはザッと前へ出る。

アンパンマンのマントが風にひらいた。


その時だった。


「もう、トリコさん!」


小松君が少し怒ったような声を上げて、トリコさんに向かって走っていく。

そして勢い良くピョンッと跳ね上がると、トリコさんの肩にへばりついた。


「んだよ、小松ぅ」

「節操が無さ過ぎですよ、トリコさん!」

「だってよぉ」

「さぁ! 今の内に逃げて下さい!」


――やっぱり小松君って天使だ!


私は小松君に感動しつつも、急いでアンパンマンに逃げるように諭す。

そして後ろでギャーギャーと揉めている二人を横目に、アンパンマンの背に乗り、さっと宙へと舞い上がった。

そのまま、空へと急上昇する。


「あぁ〜、俺のアンパン……」

「だからトリコさんのアンパンじゃありませんって!」


そんな声を聞きながら、私を乗せたアンパンマンは空を進んだ。

次第に高原から遠く離れ、再び空と森だけが視界に広がっていく。

私はようやく訪れた平穏に脱力し、ぺたりとアンパンマンの背に顔をひっつける。


ふと気が付くと、日が傾きかけていた。


夕陽が滲み、あんなに青かった空を橙に染めていく。

優しくて暖かいその光は、まるでアンパンマンの背中のようだった。


「……良かったね、逃げれて。すごく怖かったよ」


私がそう漏らすと、アンパンマンが小さく笑う。

そして少しだけ私の方に顔に向けて、


「大丈夫だよ、キミはボクが守るから」


そう言って、柔らかい頬笑みを浮かべてくれる。

そんなアンパンマンに私は眉を下げて微笑みを返しつつ、再び脱力する。

……少し疲れたなぁ。

急に安心したせいか、疲労感がすごい。つい、私は目を閉じた。

アンパンマンはそんな私を乗せたまま、空を飛んでいく。



――その時だった。


突然、風を切り、翼がはためく大きな音が耳に入ってくる。

私はパチリと目をあけて、上体を起こした。


すると、大きな黒いカラスが、私とアンパンマンの真横について平行するように飛んでいるのが見えた。

夕陽に照らされた雄大なその姿に息を飲む。


「やぁ、ボク、アンパンマンです」

「やぁ、こんにちは」


アンパンマンの挨拶に返ってきた穏やかな声。

それはこの大きなカラスの上から聞こえた。

私はとっさにこの声の持ち主を予想して、そろそろと視線を上に上げていく。

大きなカラスの上には、トリコさんほどではないが、十分すぎるほどに逞しい男性が乗っていた。

憂いを帯びた美しい顔、緑のターバンに緑のマント。


――ココさん、だ。


夕陽のせいでちゃんと顔を確認することはできないが、見間違うはずがない。

キッスに乗ったココさんと出逢ってしまった。


「君たちも、空の散歩かい?」

「ううん、ボクたちは今から帰るところだよ」

「そうなの?……うん、大丈夫。君たちはきっと帰れるよ。僕の目には見える」

「ふふふ、ありがとう」


ココさんとアンパンマンの会話を、私はポカンと口を空けて聞くしかできない。

ココさんはそんな私に少し不思議そうな顔をする。


「なんだか、お疲れみたいだね」

「あ、いえ。私なんかより、アンパンマンの方が」

「ボクは平気だよ」

「……あぁ、そういえば、君の顔は欠けているけど、どうしたの?」


ココさんは心配そうな顔でアンパンマンの欠けた部分に目を向ける。


「これはさっき、とってもお腹が空いている子にボクのアンパンを分けてあげたんだよ」

「お腹が空いている子……?」


ココさんが眉をひそめた。

恐らく、なんとなく誰だか察しがついたのだろう。


「トリコさんのことです。もう必死で逃げてきました」


私は苦々しく告げ口をする。


「それは大変だったろうね。よくトリコ相手に逃げれたもんだ」

「……小松君が助けてくれました」

「あぁ、さすが小松君」

「小松君は天使です」


私が力強く言うと、ココさんはクスクスと笑った。


「さぞ、君の顔は美味しかったんだろうね」

「お腹がすいているなら、ボクの顔を食べなよ」

「……いいや、僕は遠慮しておくよ」


ココさんはそういうと、キッスに何かを呟いた。

するとキッスは大きな鳴き声を一つ上げ、少しずつ私たちから離れていった。


「僕たちはこれから向こうの方角へ行くんだ。君たちは南だから、違う方向だね」


ココさんは私たちに「気を付けて」と言いながら優しく笑う。

そして、方向を完全に変えたキッスの上で軽く手を振ってくれた。


「キミとカラス君も気を付けて」


アンパンマンはそう返し、私と一緒に手振って離れていくココさん達を見送った。

キッスは凄いスピードで橙の空を駆けていく。

あんなにも大きかったのに、ココさんを乗せたキッスは、次第に夕陽に溶け込んで、いつの間にか見えなくなった。


――私たちも南を目指して、空を飛んでいく。


だけど、どこまで飛んでも空と森が続くばかりだった。

そのうち夕陽も沈み、橙から濃紺へと空の色が変わっていく。

キラリと星が瞬いて、すっかり夜になってしまった。


いくつもの流れ星が夜空を駆け抜けて、まるで美しい雨が降っているようだった。


「綺麗……」

「本当だね」

「ね、アンパンマンは流れ星から生まれたんだよね」

「ふふふ、そうだよ」


夜だというのに、アンパンマンといるとまるで怖くないのが不思議だ。


「ねぇ、アンパンマンはしんどくない? 大丈夫?」

「ボクは大丈夫だよ。キミこそ、お腹すいてない?」

「……ちょっとだけね」

「じゃあ、ボクの顔をお食べよ」

「それはやめとく」


私とアンパンマンは、いつまでも空を飛んだ。


――星が落ちる夜空を、いつまでも、いつまでも。





* * * * * * * * *




……と、ここで目ざましが鳴りました。


夢の話なのでオチなどありませんが、トリコキャラが初めて出てきた夢だったので、ほんとうに浮かれちゃったよ……。


アンパンマンが私の中でひどくかっこよかった。

そしてアンパンマンとココさんの会話が面白かった。

なんていうか、喋り方やテンポが夢の中ですごく似てて。

もっとココさんとアンパンマンが喋ってた気がしたんですが、夢なのであまり覚えていないのが悔しいです。

あと、ユンも出て来てた気がするんですが、すごくぼやけた記憶なので書き出せませんでした。

なんだか良い夢だったのになぁ……。


不思議な目覚めの夢で、なんだか楽しかったんだけど、そんなにテンションが上がってるわけでもなく、ただただ暖かい目覚めでした。




そして二度と忘れないでしょう。


トリコさんと対峙した時の、あの恐怖は。

ガチ怖。

まさにカリスマ。




ほんま、小松君は天使やでぇ。





2013/08/05 17:00

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