ストップマイ××× 10
一瞬、自分の体が何なのか判らなくなった。
…声も出ずに永遠を見た気がする。
「シズ、ちゃん…」
同時に二人で果てたのだと理解し、無機質な天井を今になって意識してみる。
セックスしてる間、ここがどこかも確かめなかった。
臨也だけだった。
目の前の男も、そうであればと切に願ったが、なかなか女々しいものだと自分でおかしくなった。
臨也の首の後ろに腕を回すと、二の腕横にキスをされた。
「臨也…」
「気づいたら最後、だね…」
「…」
何が言いたいのか、充分に判る。
今この瞬間、死んでもいいと静雄はまた女々しいことを考えた。
「なんか、シズちゃんとは随分昔からこんな関係だったのかと勘違いするほど、相性がいい…」
「て、た」
「え?」
掠れる声で事実をぶつけた。
「ずっと前からっ、俺…お前としてた」
「…は?」
「頭ん中で…ッ、でも、本当の方が気持ちイイって、」
恥ずかしいのか、続きを言う前に臨也の首筋に顔をうずめた。
臨也の目が見開かれる。
静雄の耳に、小さな舌打ちが聞こえたと思えば、挿入したまま硬さを取り戻した臨也がまた急速に腰を進めた。
ずちゅ
「!?はぁあ、ぅ!…ッあっ、急に、なん」
「いや、うん、可愛いこと言ってくれるなぁと思って…ッさ」
「あっ、ああっ、お腹…っ、すげ、音っして、る…!!」
静雄の中で淫猥な音が交差した。
臨也の出したものと内壁が擦りあわされ、泡立っているのが濡れたシーツで確認できた。
「今なら判るよ…シズちゃんの、殺し方」
「…ッ?あ…?」
ゆらゆらと上で揺らめく裸体の臨也は、窓からの月明かりで逆光で真っ黒に映っている。
その細い裸体が筋肉のラインに添って陰影をつくり、とても神秘的だった。
笑う口元と、細められた紅い瞳だけが、色をなす。
音色のように、紡ぎだす。
「いつか、抱き殺してあげるからね」
静雄の目が見開かれる。
そして、黒い影に覆われ、飲み込まれる。
静雄はその時、果てた。
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俺たちは過去も今も未来も、ずっと喧嘩しっ放しで、
互いに朽ち果てるまで貪り合うんだろう。
どんな形であれ、俺の人生は折原臨也のせいでむちゃくちゃだ。
因縁
恋愛
憎悪
セックス
全部全部、止まらない−。
end.
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