セクスティニエ 9



ビクビクと、静雄の舌が伸びて痙攣している。
その舌を絡め取るかのように臨也も舌を伸ばし、深く口付けた。
口をふさいだまま、また腰を進める。


「ふぅ…ん! んーっ!」

静雄は眉を顰めて涙を浮かべる。


「…車で轢いても、ナイフで刺しても、死なないのにね」


この細い身体のどこにこんな力強い腰つきが存在していたのか。
静雄はそれを考えるだけで死にそうだった。


「ぁ…ッかも」

「え…?」


か細く発した声を拾うかのように、臨也は耳元を静雄の口に寄せた。


「いまなら…刺さる、かも」

「な…に…」


気持ちよすぎて
幸せで
臨也が居て
こんな、化け物の俺の傍に、
昔から、ずっと


そう想って、自然と涙が溢れて、頬を伝った。


「試しに刺してみろ、よ、臨也…」

「バカ…!!」

「!?んは、ぁああっ!」


これまでにないくらい強く腰を打ちつけた。
静雄の太ももを担ぐと、彼の胸元まで脚を曲げさせる。


「あああああっ、激し…ッ! いざやぁあっ、も、無理ぃいっ」

「っく…!」


脳内が、真っ白だ。


達した後、静雄の胸元に倒れこむと、出た互いの精液が混ざり合い、厭らしい音が耳を打った。


「…は、は」

息切れをし、短く息を吐く臨也は、静雄の高鳴る鼓動をしかと感じた。


「生きてるよ」

「はあ…はあ…っ」

「死ぬなんて許さない…」

「臨、也…?」


きゅっ、と静雄の頭を包み込むかのように体ごと抱きかかえた。
臨也は掠れる声で告げる。


「いざ…」

「始まりはあっけなかったねぇ」

「?」

「ごっこじゃないよ、もう」

「え…」


“いつもと違うことしてみない?” はじめは確かに臨也がそう言った。
ただのお遊びでここまで深く交われるだろうか。
…気づかないふりも限界を越えたのかもしれない。


「これからは無理しなくていいんだから」

「!」


何とも言えない微笑を真正面から向けられ、静雄は面食らう。


「とりあえず、セックスは毎日がいい?」

「え、な」

「シズちゃん絶倫だけど、俺も案外いけるっぽいよ?」


くしゃくしゃと髪の毛を触られる。
痛んだ金髪が臨也の指に絡め取られているだけで嬉しくなる。


「毎日、お前と出来んの…か?」

「シズちゃんオナニー好きだからなぁ、一人でしたい?」

「ッお前としたい!」


反発的に臨也を掻き抱いた。


「わっ、いたっ」

「臨也臨也臨也臨也」


腕と脚で下から羽交い絞めにした。


「も…ガキかよ!痛いって!」

「ま、毎日会いに来ても」

「ていうかココ住めば」

「そ、そん」


真っ赤になる静雄の顔を見て、何で?という怪訝な顔で見おろしてやった。


「俺、それ、大変じゃねぇか!」
「何が」


あまりの面白い反応に吹き出す臨也の笑顔を見て、静雄の脳裏には妄想がよぎる。
そして、更に掻きたてることを言われた。


「フフ…とりあえずお風呂、入ろっか」

「!一緒にか?」

「だって、こんな状態で晩御飯用意できないよ。べっとべと」

「そ、そうだな」


目を泳がせている静雄を半眼で見下ろす。


「何考えてるの?」

「べ、べつに」


そっぽを向いてその場をやり過ごそうとする。


「はーん?まぁたエッチな事考えてるでしょ」

「悪ィかよ!」


素直すぎる静雄に肩を竦める。


「えーっと、悪くないけど、先お風呂ね、うん」


よいしょ、と身体を離して起き上がる臨也を追いかけるように上半身を起こした。


そして、


「まっ、…臨也!」

「えっ」


ひょいっとお姫様抱っこをされ、今度は臨也が赤面する。


「ちょっ、下ろして!」

「…あ?なんだ、照れてんのか」

「あ、当たり前だろ!何、コレ、もっ、女の子みたいにしないで!」


臨也の細長い手がペチペチと静雄の頬を叩く。
静雄にとってはそれも可愛くて仕方ない。


「てめぇ、いい加減にしろよ…風呂で犯すぞ」

「フン、突っ込まれてあんなに喘いでてよく言うよ」


顔を真っ赤にして文句を言う臨也を今にでもむしゃぶりつきた くなった。
ふと、振り返る、寝室。
シーツは案の定めちゃくちゃだった。
今までみたいに一人じゃない、これは二人でなった結果だ。
静雄は何だか涙が出そうになったが、腕に抱える現実を想い、
高鳴る気持ちを抱きつつも、その欲望を飲み込んで臨也を抱きかかえたまま部屋を後にした。


end.

執筆2011.6.2
→修正2011.10.11

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