昔から面倒な事が嫌いだった。
しかも初めて付き合った人が浮気性。(後に私の気を引く為だと判明)

恋心やら恋愛感情やらはいつの間にか死滅して。
面倒くさがりに更に拍車が掛かったのは、うん。しょうがないことだったんだと思うんだ。

だから後輩くんに告白されても、まあいいかぁ。くらいだったんだよ。
断るのが面倒だったってのもあるんだけど。
今思えば疲れてたんだろうね。
いつ会っても違う香水の匂いがする恋人との関係に。



まあ、今なら浮気してくれてた時の方が楽だったし面倒くさくなかったって盛大に言えるんだけどね。



「結菜。今週末デートするぞ」

「あ、先輩!結菜さんは俺と先にデートの約束してたんスよ!先約は俺です!」

「は?お前の意見とか聞く意味ねぇし。お前とは仕方なく結菜をシェアしてるだけで結菜の彼氏は俺だから」

「気を引きたいだか知りませんが浮気ばっかりして結菜さんを泣かせてた人に恋人面して欲しくないッスわ」

「あ?テメェに何が分かんだよ」

「少なくとも先輩よりは結菜さんを知ってますから」


……とりあえず後輩くんはわんこを何処に捨ててきたの?今すぐ回収してきて。
あと泣いてないからね?
わりと早い段階で諦めてたってか、面倒になってたから泣く必要が無かったから。
そんなバツが悪そうな顔されても困るというか。
言うなれば私も浮気してた身だし。
忘れられてるってより、無かった事にされてる気がするけど。

とか何とか内心で思う。
なんで内心か?
あはは。そんなの彼氏が2人とか厄介な事になった原因が、ついうっかり口を滑らせちゃったせいだからに決まってるじゃないですか。

それに悲しいかな。
2人の言い合いが日常茶飯事だから慣れたってのもあるんです。



「とにかく、デートは俺が優先だから。お前は指加えて見てろよ」

「はは。冗談きついッスよ先輩?指加えて見てんのはあんたの方に決まってるじゃないッスか」



ビリビリとお互いの間に静電気?いやむしろ火柱?が立ち上る。

それにしてもいい加減私を挟んで言い合いするのを止めてくれないかなー。
出来ないならせめて2人でやって欲しい。
両サイドから不穏な空気で言い合いされるのは、なんというか居心地が良くない。
なら離れればいいんじゃ、と思ったそこのあなた!
両腕を掴まれているので動けません。立てません。逃げられません。

もうほんと面倒くさいなー、この2人。
なんで付き合ってるんだっけ。
ああ私のついうっかり発言のせいか。そうか……そうか。



「3人で行けばいいじゃん」


半ばやけくそな提案をするのは面倒だからとか、いい加減体勢が疲れたとか色々あるけれど。
3人で付き合ってるんだしそれが一番楽だっていうのが一番の理由。
主に私の負担的な意味だけれど。



「…………結菜がそうしてぇっつうなら俺はいいけど」

「…………俺も先輩と一緒は嫌ッスけど、結菜さんが言うならいいっすよ」

「じゃあ3人ね。はい決まり、はい決定」



どこか釈然としない2人だけれど私の意見は聞いてくれるので大いに活用させて貰う。

面倒だから発言しないんじゃなかったっけ?なんて言葉は聞きません。
放って置いた方が面倒な事になるのは火を見るより明らかだからね。




面倒くさがりな私に出来た面倒くさい恋人2人。
それでもまあ、なんとかやっていけてますよ。お母さん。


―――ただ、強いて言うなら。



「我が儘聞くんだから、俺達のお願いも聞けよ結菜?」

「大丈夫ですよ。結菜さんの嫌がることはしませんからね?」



主に夜の生活に関しての仲の良さを普段から発揮してくれたらなぁ、と切実に思うのですよ。


end...


モドル

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