シンデレラVer.2


とある国のとある家にシンデレラと呼ばれる、それはそれは薄汚い娘。いや、正確には息子が居ました。
その息子は父親の再婚により新しく自分の親になった継母と継姉に疎ましがられまともな男の服も着させてはくれません。
それどころか、毎日毎日朝から晩まで働かされ、風呂に入る事すらたまにしか許してはくれないのです。
だからいつでもシンデレラは垢や埃まみれ。
父親や忙しく滅多に家には帰って来ないので、シンデレラを助けてくれる者も居ません。
哀れシンデレラ。


「……ハァハァ」


シンデレラ?


「ああ…!お義姉様!もっともっと私を虐げて下さい!」


……しん、でれ…ら?


「いやいや気持ち悪いこと言わないでよ。気持ち悪い。ホント貴方のそういう所はどうかと思うよ?頼んでもないのに人の部屋の掃除をして下着を盗っていっては「仕置きしてくれ」だの、ドアを開けたら床に寝転がった貴方を見付けるわ、あげく避けたら「何で踏んでくれなかったんですか!」ってキレるは、最近の若者意味分かんない」

「ああ…!気持ち悪いって2回も言って下さるなんてご褒美ですか!?その冷たい眼差しも堪らない!ほら!汚い私をもっともっと蔑んで!踏んでくれたら尚良し!」

「うん。気持ち悪い」

「ああああああ!!お義姉様の「気持ち悪い」とか気持ち良すぎますぅぅぅぅ!!」


継姉のゴミを見るかのような視線と絶対零度の言葉によがるシンデレラ。
なんとシンデレラは被虐体質。いえ、ドが付くM気質だったのです。
今まで虐げられていると思っていた全ての事は勘違いであり、むしろシンデレラが継姉に冷たくされたいが為に進んで行っていた事だったのです。
継姉はそんなシンデレラに心底哀れむような視線を浴びせかけます。
継姉さん。それは普通に逆効果だと思いますよ。


「お義姉様にそんな目で見られるだなんて、興奮しますぅ!もっともっとこの薄汚い雄豚を苛めてくださぃぃぃ」

「……心の底から気持ち悪いね」


疲れた顔を隠さず、継姉は更に興奮したシンデレラを見やり、はあ、と重い重い溜め息を吐き出した。


【シンデレラはM気質】


end...


副題:確かに恋だった様より

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