白雪姫と継母と、下僕2の場合
「あの、トリュフを作ろうと思うんだけど……」

「ああ。お父様がお好きですものね。分かりました。一緒に作りましょう」

「っ違うわよ!別にあの人の為じゃ」


(いやお母様。そんな真っ赤になって言われても説得力ありませんよ)


クスリと微笑む。
ツンデレな継母は思った通り、話してみればかなり気が合った。
そしてあの森(通称変態の巣窟)から帰ってきて、一緒に城で暮らす内に分かったが、継母はかなり可愛かった。
これはあのドS魔王もとい父も惚れる訳だと心底納得したくらいに可愛かった。

母親に可愛いを連発するのもどうなのかと思われなくもない気がするけれど。
そもそも継母の年齢は私よりもちょっとだけお姉さん。というくらいだから、どちらかと言うと姉が出来た様な感覚に近いというのも継母好きを加速させるポイントだろう。

ただ父親のロリコン癖も同時に発覚したような気もしないでもなく、そういや母さんベビーフェイスだったなぁ。
と、記憶の彼方の生みの親を思い出しては頭を振る。

うん。些細な事だよね!


「アレ?」


継母の困惑した声が聞こえそちらを見る。


「? どうしましたお母様」

「ここに置いておいたチョコレートが無くなってるのよ……可笑しいなぁ」

「それは確かに…………おい、下僕」


可笑しいですね。と続く筈だった言葉はあることを思い出して途切れた。
そして呼んだのは変態の巣窟(森)の住人の名。
ちなみに本名=下僕として固定化させる事で城に帰る事を許された。
泣き喚かれた上に放置プレイかと悦ばれつつだが。


「お呼びでしょうかご主人様」

「……何故に居るんですか下僕2」

「ご主人様の在る所に下僕有りと申しますでしょう?そういうことです」


いや、申しませんけど?
そんな反論はご褒美にしかならないと学習しているので特に何も言わない。
内心では相変わらず盛大に突っ込むけれど。


「……まあいいです。それで下僕2。その口周りのチョコは何かしら?」

「ご主人様に怒られたくて、つい」


下僕2は心底嬉しそうに頬を染めながら言った。
つい、じゃねぇよ?
何、お母様の貴重なデレポイントを真横で見れる機会を奪いやがったこの下僕がっ!
と、罵りたいのを我慢する。
何度も言うけれど、ドMには所詮何を言ってもご褒美にしかなり得ない。

それに下僕2は下僕1と違う意味で厄介なのだ。
テンプレの様にドMな下僕1は相手をしなくても勝手に悶えているからまだいい。


「放置プレイなんてご褒美です!!白雪様ぁぁぁぁぁ!!」


とか叫んでるだけだから。
ちなみに今のは城に帰る時の言葉だ。

だけどこの下僕2は自分が怒られる為に人の、主に私の迷惑になる事を重点的に行う。
そうしてきっついお仕置きをして欲しいそうだ。
なにこの変態、土に埋まって二度と出て来なければいいのに、と内心で思う。

今だって私に向かって、


「怒りました?ねえ怒りました?だったら僕の下半身を思いっきり踏み締めて!冷めた視線で僕を見て下さいっ!」


……はは。死ねばいいのになー…。


「お母様?」

「な、なに?というか白雪姫?目がどこか遠くに行ってるんだけど!?」


「大丈夫ですお母様。それで私ちょっとお父様から拷問器具借りてきますので、もしソコの家畜以下が不快な言動を取りましたら迷わずこれで刺して下さい。大丈夫。お父様が全て揉み消して下さりますから」

「ちょ、え?これ包丁!」

「では行って来ますね」

「あ、行ってらっ、いやいやいや!?そんな清々しい笑顔で何しに行くの!?ちょ、待ちなさい!白雪姫ぇぇぇえ!!」

「正座待機でお待ちしておりますね!!ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」


end...


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