愛してると伝えたら、
愛してると吐き気がするくらい言えば、キミは帰って来てくれるのかなぁ?


「  さん。包帯変えますねー」


今日も良いお天気ですよ。
そんな言葉の羅列が耳に届いては通り抜けていく。
腕に巻かれた赤く滲んだ包帯は、まっさらな綺麗な白色へと変えられていく。
無駄なことを。
僕は何度だって同じことを繰り返すだけなのに。


「あいしてるよ」


ねえ、愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。
気が狂う程に愛してる。いや、もう狂っているのかもしれないなと何処か冷静な僕は思う。


「どうして……」


ねぇ、どうして。
こんなにもキミを愛しているのに、キミは僕に応えてくれないの?
あの日、真っ白になってしまったキミを思い出して、その次に諦めたような顔のキミを思い出して。
次に、次に、次に。
どんどん若くなっていくキミを記憶で辿っていく。
年老いていくことは、もう、ない。
それでも愛してる。愛してるんだ。
あいしてるから……


「僕のこともあいしてよ……」


最期まで僕を愛してくれなかったキミ。
キミを囲い続けた僕への、きっとたったひとつの抵抗。
そんなキミも、いとおしくて堪らなかったよ。


だから今日も僕は真っ白な包帯を赤く染める。
キミの元へ、早く行けるように。


end…


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