ハイ銀島結です。最近、というかだいぶ前から尾白さんの双子に対するツッコミが追いつかへんみたいで、片割れと同じクラスの俺もその役割を強いられてます。可哀想やろ俺。正直ガンスルーしたい。でもたまに、思わず突っ込まずにはいられんほどアイツらよう分からんことしてくるねん。
「待ってまじで無理やねんけど俺の彼女かわいすぎか!?!ハァ〜!?!!」
トイレから戻ってきたら、教室の前の廊下でハチャメチャなキレ散らかし方をしていたのは、かの有名な宮侑くんです。なんでコイツがファンの女の子たちにキャーキャー言われとるのか正直意味不明や。背高くてバレーが上手いだけやなくてイケメンだからか?イケメンって何しても許されんのか?
「見て銀島!なまえが俺のカーディガン着てんねんけど!やばない?」
「やばいのは自分やって気づいとる?」
「どうしたらあんな可愛ええ発想できるんやろな。あ、なまえだからや!そらそやな!」
「人の話聞けや」
彼女に対しての反応は5歳児や。5歳児以下かもしれへん。まあだからこそ、周りは「アーあのバカップルねハイハイ」て感じで生温かく見守っているかもしれないが。なまえが宮侑ファンから陰湿なことをされていないのも、奴の溺愛っぷりに呆れているためだとしたら納得できる。彼女を守るためにわざとアホなフリしてるんか?
「はよ教室入れ」
もうツッコミは諦めて教室の中に足を進めると「なんや冷たいな〜」とぶつくさ文句を言いながら侑も着いてくる。冷たいんやなくてキリがないんや。侑はそのまま彼女のところへ直行するのかと思いきや、俺の隣の席に勝手に腰を下ろす。
「なまえのところ行かへんの?」
「理由は後でたっぷり聞いたるねん。教室だとジャマ入るからな」
…聞かなきゃ良かった。友人たちと談笑しているなまえのほうをチラチラ見ながら侑の頬は緩みっぱなしだ。
連日温かい日が続いており、今日は珍しく気温が低かった。おそらく、思いの外寒いと思ったなまえが侑のロッカーに突っ込まれてあったカーディガンを勝手に借りただけの話やろ。そんな大騒ぎする話でもないっちゅーねん。
「かわええやろ?」
満足げに侑が問う。まあ確かに一回り大きいカーディガンの袖から見える華奢な指先とか、スカートがカーディガンに覆われて短く見えるところとか。……くっそ、バカップル滅べやほんま。
「侑、そろそろ座りたいんやけど退いてくれる?」
「ええ〜ここベストポジションなんやけど」
「何の?」
戻ってきた席の主に対して、侑は平然と「ここやとなまえから気づかれずに見れんねん」と答えた。
「知らんわ。さっさと退いて」
ぐいぐいと侑の肩を押し始めたのを見て、まあこれがベストな判断よなと思った。いちいち反応してたらこっちの身がもたんし。ツッコむかスルーするか、ただでさえバレーで頭使うのに毎日悩まされている。尾白さんほんますごいと思う。

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