もうどれくらい走ったのだろう、暗く光の閉ざされた世界で自分が何の為に闘っていたのかもあやふやになってしまった。

この手で仲間を殺し
この手で大好きな先輩を殺し
この手で化け物を殺した


どれほどの命を奪ってきたのだろうか。今まで気にかけたことのない疑問が突然頭によぎる。


「考えたって、どうにもなんねぇよ」



緑色の汚れた服を着た青年らしき人間が呟く。


誰よりも先に殺さなければ…
こちらが死ぬことになる。
こんな所で化け物に殺されて見せ物になるもんかと足掻いてきたが、もうその決心も弱まりぶれぶれになってしまった。

化け物の世界に自分の居場所などあるはずもなく、ひたすら目の前の敵を殺して一時的に自分の場所を確保していた。
しかし、化け物に小さな命の叫び声などただの雑音と化してしまうのでそれも長く続くことはなかった。


あぁ…結局は自分も化け物になってしまうのか、ここまで抗ってきたのに。あっさりと。


喉は叫び続けてガラガラになり、もう食事と呼べるものを食べていない為に身体は弱々しく痩せて
すっかりその場から動けなくなっていた。


「…ハッ、こんな所が俺の死に場所かよ…」


疲労と怪我のせいで体は悲鳴を上げている。
もう自分はこれまでなのだと薄々感じてた青年はゆっくりと目蓋を閉じ、横になる。
最後に見た景色は相変わらず表情を変えずにじめじめと鈍く輝く太陽と、かつて闇人たちが憩いの場として穏やかに過ごしていた赤い海であった。



遠くで誰かの声が聞こえた気がしたが、青年がそれを知る日は来ない―――。





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初めてかいたSIREN文。
ブログにのせたやつです!
相変わらずバッドエンド!が好きです。
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