「ひゃ、わっ、 あ」

近付くことだってほとんどないサイクロナスが、こんな近くにいる。こんな、まだお昼なのに、僕のことを抱きしめて、ぺろぺろと首をなめている。

「サイ、クロナスっ、 ひぅっ…」

鋭い犬歯が配線に引っかかった。

それだけでも頭がパンクしそうだというのに、サイクロナスは熱く荒い排気でもってさらに僕をおかしくさせようとする。

経験こそ初めてではないものの、今のような状況になったのは初めてだった。

それに、どんなに好きだってこの行為は恥ずかしい。

サイクロナスと目一杯触れ合うことができる点に関しては大好きだけども、自分がどうにかなってしまいそうで、実際になってしまうのだからやっぱり苦手だ。

「どうしたの、サイクロナスっ」

「…どうした、だと?」

真っ赤な目が僕を見た。

「お前が蒔いた種だ」


えっ。


ねえサイクロナスどういうこと?なんて長い台詞を言わせてくれるほどサイクロナスに余裕はないみたいだった。

足の間の、その、…とにかく奥まった所に大きな手が伸びてぎょっとする。いつもより熱い掌が太腿を這ってぞわぞわした。


だめだ、このままじゃ、

「こっちを見ろ、テイルゲイト」

このまま、じゃ、

「テイルゲイト」



「逃げられると思うな」

……ああ、その声、ずるい。



抵抗をやめると素早く腕が伸びてきて、力強く抱き締めてくれる。

やってることは恥ずかしいのに、この先はもっともっと恥ずかしいことをすることになるのがわかってるのに、サイクロナスが求めてきてくれるのがとっても嬉しくて僕も両手を伸ばして顔を上げると待ってましたとばかりにキスをされた。

「逃げないよ」

そうか、と優しい声が降ってくる。

恥ずかしいけど、恐る恐る足を開いて彼の脚に跨った。

「逃げない、っ、からぁ…!」

滑り込んだ鋭い指先がレセプタを撫でるとぷちゅりとオイルが音を立てた。「ん、あッ」聞かなかったことにして、サイクロナスの手を伝って自分のレセプタに手を伸ばす。


熱い。

サイクロナスの体温よりも、ずっと、ずっと。


2本の指でぷにぷにとした縁を触って、ふと、サイクロナスの視線がそこを見ているのに気付く。

恥ずかしい。顔から火が出そうだ。

……でも、もっと見て、なんて思ったりして。

「っひァ、ん、ンン、 さい、くろなすっ」

どうせするなら、もっとたくさんよろこんでよ、サイクロナス。

一拍置いて、大きく深呼吸をする。

自然と体が震えて揺れたせいで縁をおさえた指が溢れ出すオイルでぬるついてすべる。どうしよう、どうしよう。でも、やったらもっと、サイクロナスは僕を求めてくれるかな。

「僕のレセプタ、こんなにあつい」

ああ、と心地いい声を零してサイクロナスが笑う。穏やかで、それでいてすごく艶かしい。目つきだけが穏やかではないけど、真っ直ぐに僕に向けられているからそれでいい。

「熱い、か。…ならばどうされたい?」

浅く入口をつつくように撫ぜられる。

足りない。


サイクロナスなら、もっとたくさんくれる。


はしたなく腰をサイクロナスによく見えるように突き出して、指でレセプタを拡げた。



「もっとさわって、サイクロナス」


恥ずかしさと気持ちいいのが混ざってみっともないくらい声が震えた。

赤い目が見開かれる。

息を呑む音が聞こえる。

深く深く息を吐いて僕を見下ろす赤い光が一旦見えなくなって、

「あ、」

次の瞬きをしたときにはもう、捕食者の瞳をした彼が僕を食べようと口をあけていた。




どうぞ、できるだけ優しくして、美味しく食べてね。

言われずとも、と返された答えはひどく頼もしくて、そしてひどく情欲に満ちていた。


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