獣姦がブーム
最優はこんなことしない!ガッシボカすぎますがファンタジーなので許してください





成人男性とおなじぐらいか、それよりも少し大きいのではないかと思われる狼に地面に無理やり押し倒されて、明確な命の危機と逃げ出せないようにと胸に置かれた前足にぐっと体重を込められ、肺から意図せぬ息が漏れたのが分かった。目の前の動物から聞こえるぐるぐるという重低音は喉を鳴らして威嚇をしているのかそれともただ単純に猛烈に腹が減っているのか。後者だったらあと数秒でスバルの命はなくなることは間違いない。とはいえどちらにせよ何らかの怪我は負って、最悪死に至るということだけはありありと想像できた。鋭い歯をむき出しにして、唸る獣の口からたらりと唾液が一筋スバルの腹の上に垂れる。

「っひ、ぃ」

生憎その日は自衛手段を何も持っていなかった。何故か魔物とエンカウントしやすいスバルに、山に入るのならば何か一つは刃物を持っていけとあれほど親に言い含められていたにも関わらずだ。スバルが慢心した理由の一つに、最近近辺から魔獣が姿を消したというものがある。突如現れた圧倒的強者に残らず食われてしまったか追い出されたのか、詳しいことはわからないが1か月に数回は出ていた怪我人がぴたりと無くなったのはここ数か月のことだ。きっとそれはこの狼が原因なのだろうが、だからといってなんの救いにもならないことは確かである。魔物を食うのであれば、それよりも柔らかくて仕留めやすい人も食うに決まっている。

服と腹を濡らす生暖かい液体がじわじわと広がっていくのは、狼の涎ではなくてあまりの恐怖に失禁しているのかもしれない。現実逃避の一環としてそんなことを考えながら目前に迫る天然の凶器を見つめる。白く光るような輝きを持った牙はスバルにあまり苦痛を与えずに終わらせてくれそうだ。きっと一噛みで綺麗にこの世から意識を飛ばしてくれることだろう。

「ふ、ふっ、ぅ、あァっ!!嫌だっ!!た、たすけ・・・」

首筋に狼の顔が近づいていく。そこを食い破られるのかと思ったら途端に濃密な恐怖が沸き上がって必死に狼の腹の下から抜け出そうとスバルは力の限りもがいた。最もそれは無駄な抵抗に過ぎず、逆に叱咤するように軽く歯を立てられて硬直する。生きとし生けるものの急所である部分を肉厚の舌で舐めあげられて背筋をぞわぞわとしたものが走っていった。

「・・・・・・・う、ふぇ、うう、ゃだぁ・・・」

獲物を嬲ることを楽しむ性質でも持ってるのか、首筋をべろべろと舐め続けられる感触が怖くて、あまりのことに涙がこぼれた。つい先日15歳の誕生日を迎え、成人したばかりだというのにこれではまるで子供のようだ。死ぬにしてもせめて涙だけは止めておきたい、とぎゅっと目を瞑ったスバルはそのせいで狼が少し困ったような雰囲気になったことがわからなかった。

「ぅ、あ?」

最後の時は、いつまで立っても訪れなかった。そのかわりとでも言うかのように、涙と鼻水でべちょべちょになったスバルの顔を優しく熱いぬめぬめとしたものが舐めていく。今だ止まらぬ涙と、生理現象で垂れてきた鼻水までを幼子にするかのように世話をされて、その予想外の行動に薄目を開けてみるも特に状況は変わっていない。鋭い歯は相変わらず目の前にあるし、胸を押さえつける脚の力強さすらそのままだ。もしかしたら味見だったのか、と少し期待をした自分をアホらしく思って口端がひきつり、自嘲するような笑いが喉奥から洩れる。

そのスバルの一見笑っているような表情を見て、狼は何を思ったのだろうか。突如腹を押さえつけていた足をどけて、スバルの服に噛みつく。牙ではなく、鋭利な刃物で行っているかのようにびりびりと破れていく服はまるでスバルの未来の姿のようだった。上半身の衣服を破り終えた獣は下半身に顔を向ける。作りがわかっているのか、ベルトを噛みちぎっただけで何故かズボンは破壊されず優しく脱がされた。

「・・・・へ、?」

あっという間に裸にされて、呆然とする。意図も不明だ。食べるときに邪魔なのだろうか。一糸纏わぬスバルの姿をみた狼がすんすんと鼻を鳴らす。枷となっていた脚はよけられているものの、逃げたら何をされるかわからないという怯えが逃走を躊躇わせる。ぽたり、とまた腹に涎が落ちて、そのぬるぬるとした感触に体が震えた。

「え、・・・な、なんなんだよ・・・っひゃぅ」

頭髪に鼻を寄せられて、匂いを嗅がれる。その様子は村で飼っている番犬がこちらに甘えてくる姿にもよく似ていて、困惑したスバルの耳元を狼がべろりと舐めた。これまでのものとはまた違う、敏感な部分を刺激されたことによって思わず嬌声にも似た悲鳴が漏れて、顔が熱くなる。もちろん目の前の狼がその意味が分かったとは思わないが、恥ずかしさを覚えずにはいられなかった。

そんなスバルの何に反応したのか、耳元にかかる息が荒くなる。尻尾でも振っているのか局所的に発生したとみられるふわふわとした風が素足に当たってむず痒い。最初は敵意を見せているような様子だったのに急に態度を軟化させたこの生き物のことがよくわからなくて、スバルは怯えも忘れて目の前に広がる毛並みをまじまじと見つめた。野に住む動物とは思えないほど滑らかでつやつやとした毛皮にはノミやダニなどの寄生虫なども全くいなそうだ。また、一見灰色に見えたその体毛はよく見ると珍しいことにうっすらと紫色がかかっている。あとなぜかいい匂いがする。開けた草原を吹き渡る、草木の匂いがする涼しい風に柑橘系の果物の芳醇な香りが混ざったような。

ずっと嗅いでいたくなるような爽やかな匂いに興味を惹かれて、狼と同じようにくんくんと相手の匂いを嗅ぐ素振りをするとそれが嬉しかったのか、足に当たる風がますます強くなった。体が大きいということもあってか今度はぶんぶんと尻尾が風を切る音も聞こえてきて、その犬と変わらない仕草に笑みが漏れる。最初は恐ろしさしかなかったが、なんだ、こうしてみると可愛らしいものじゃないか。

「うわ、ふかふか・・・」

おずおずと手を伸ばして自分にのしかかる体に触れてみると、スバルの想像通り滑らかでそれでいて質の良いふわふわが手を包んだ。もふっとした体毛は案外厚く、伸ばした手は簡単にその中に埋もれてしまう。モフリスト的に点数をつけるなら100点中100点の手触りだった。外にいるにも拘わらず砂ぼこりのじゃりじゃりとした触感もない。これは明らかに野生動物ではないだろう。こんな狼を飼育できる人間がいるとは思えないが、と考えながら一応首輪を探して手を首筋周辺で動かしてみても、案の定そうしたものは何も見つからなかった。
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