※オリジナル大量
※捏造
※まっさらから一ヶ月後。



 冬島の冬、午後7時43分。ポーラータング号内、浴室。


シャチは水面を眺めている。海ではない。己が浸かっているバスタブだ。
人差し指の第一関節だけを出し、それをゆっくりと右から左へ進ませる。

「ドゥンドゥンドゥンドゥンドゥーン!」
「はい、うざー。」

自分の乳首に人差し指を押し当てられたウニは、シャチの右手首を捕まえ、そのまま握りしめる。

「ぎゃああああ!!!おれの血管からトマトジュース出る!搾り出る!切り傷ないのに、毛穴から搾り出される!」

シャチはあまりの痛さにバスタブから飛び上がった。水しぶきが辺りに飛び散る。

「ちょ、やめろ。目に入っただろ。うぜー。」

ペンギンは迷惑そうにシャチを見上げた後、胸の下のお湯で顔を洗った。

「なんで、こんな男4人で風呂に入らんとあかんくなったんや…。」

ペンギンの横で浸かっていたサシラは大きなため息と共に呟いた。

「あー?今給水ポンプが止まってて、真水が作れない。だから風呂も、一部屋につきバスタブ一杯分しか湯が支給できないらしい。ローにはそう聞いたぜ。」

「は?管理がずさんすぎませんか?潜水中の船には必須でしょう。ましては今冬島の冬の海域ですよ。…スパナのやつ、なんかやらかしたんか。」

「いや、それはないでしょ。あいつの生真面目さからして。元々そんなに新しい機体でもないしなぁ、この船。どっかにガタが来ててもおかしくないよ。」

シャチが解放された右腕をさすりながら、再び湯船に浸かる。

「お前には聞ぃてへんねんボケカスしね!なんで風呂にまでサングラスかけてくるんやきっもちわるいやっちゃなッ!」

サシラは苛立ちながらシャチを指差す。

「確かに、風呂にグラサンはキメェ。」

「そんなどうでもいいことより、この現状はなんだよ。なんでバスタブ一杯分のお湯が与えられてんのに、4人でバスタブ入ったんだよ。ほとんど流れ出たじゃねーか!」

「あ、そこに気づきました?ペンギンさん。」

「気づくわ!自分が、ぬく〜!って感じるのと反比例して溢れ出ていくお湯!止められない下げる腰!ああああああ!!!!無駄すぎる!!!!」

「むさ苦しいしな。きっついし。」

「はじめから順番決めて入っていけばよかったんや。なんでまとめて入らなあかんのや。おかしいやろ。仲良しか。吐き気催すわ。」

「は?サシラ本気で言ってんの?ペンギンとウニさんから風呂に入れてみろよ。おれたちに水を残してくれると思うか?」

「サシラの絶望顔半端ねぇな。」

「チッ、変態グラサンが。こういうときばっかり頭回りやがってクソが。」

「そんなにボロクソに言われることだったでしょうか?ここの風呂場におれの人権ないの?」

「じゃああれや。初めからバケツで水を四分割にしたらよかったんや。」

「そんな都合のいいバケツがあるかよ。第一、終わったことについて、ああしたらよかった、こうしたらよかったとかいう問答は本当に意味がねぇ。」

「略奪。」

ペンギンの一言で、騒がしかったバスタブは静まり返った。
ウニはいつになく真剣な表情でペンギンを見る。

「完全にぬかった。」
「その発想はなかった。あれやん。はじめから、次に風呂に入るであろう部屋のやつから、そいつらのお湯を貰えばよかったんや。」
「欲しいものは手に入れる。なぜなら海賊だから。」


シャチは脱衣所に繋がる扉を睨む。

「4人。」
「考えることは皆同じってか。」
「向こうは、このバスタブ内のお湯を狙っている。」
「ちゃう。自分たちのお湯を取りに来たおれらを返り討ちにするためや。奇襲をしかけるなら、おれなら、敵が完全丸腰で悪魔の実の能力が使えない、風呂場内や…!」

湯気と静寂が浴室内に立ち込めた。

扉のノブが僅かにひねられた。それを合図に、シャチ、ペンギン、ウニ、サシラは素っ裸のまま、脱衣所へ飛び出した。



工事期間は三日間






さあ!この船の最強チームを決めようじゃないか!




20200209
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