チュンチュンと小鳥の囀りが聞こえ、重たい目を無理矢理こじ開ける。

目線を上にして目覚まし時計を見れば、今の時刻は5時を回ってちょっと経った頃だった。

目覚まし時計が鳴る前にスイッチを切り、お弁当を作るために布団を出ようとすると腕をグイっと引かれた。


「…どこ行くんだよ」

「お弁当作ってくる。まだ時間があるから大輝は寝てていいよ」


そう言うと大輝は「ん」と短く返事をし、二度寝を始めた。

本格的に冬に入ったためか、部屋が冷えていて寒い。

近くにあったセーターを着込んで、ヒーターを付ける。

その足で洗面所へ行き、洗濯機に洗剤と柔軟剤を入れスイッチを押し、顔を洗う。

朝早くから大きな音を立てて申し訳ないが、早く干さないと乾かないからしょうがない。

顔を洗った後、再びリビングに戻ると部屋が温まっていて心地よかった。


「さて、そろそろ作りますか!」


服の裾が濡れないように適度に腕まくりをし、私はお弁当作りに取り掛かった。

取り敢えず、昨日のおかずの余りをレンジで温めて卵焼きを作ることにした。

小さい頃からお手伝いをしていた私にとっては卵焼きを綺麗に巻くことなんか朝飯前だ。

綺麗にできた卵焼きを一先ずお皿に乗せ、さっき使ったフライパンを軽く洗う。

次にこの前お弁当用に冷凍しておいた一口サイズのハンバーグを焼こうと冷凍庫から取り出そうと振り返れば、大輝が私の後ろに立っていた。


「わっ、ビックリした」


ボーッとした顔で私を見る大輝に首を傾げれば、大輝は私を抱きしめた。

背中に手を回してきたかと思えば、大輝は私の服の中に手を突っ込んできた。


「ちょ、冷たっ!」

「あったけぇ」

「私で暖を取らないでよ!」


未だに私に抱きついている大輝を無理矢理引き剥がし、リビングにあるヒーターの前に背中を押して連れて行く。


「もうちょっとでご飯できるから待ってて!あっ、暖かくなってきたら顔洗ってくること!」

「おー」

「じゃあ、私お弁当作ってくるから。大人しくしててね!」

「なぁ、由衣」

「何?」

「はよ」

「おはよ」


毎日こんなやりとりをしながらも、朝の挨拶を欠かさない所に思わず笑ってしまった。

そんな私を見て、大輝は「腹減った」と言葉にする。

私は小さくため息を吐いてキッチンに戻り、残りのお弁当のおかずを作ることに専念した。


12.11.24



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