天然サイダー
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まさか、ね。

本気なんてありえないでしょ。
そう自分に言い聞かせてはため息をつく。
ホント………どーかしてるよね。

原因は僕の後輩の七海春歌ちゃん。
別にその娘が悪いわけじゃない。
春歌ちゃんは作曲に関して一生懸命で頑張り屋で…努力家だ。
彼女が作曲するものはいい線いってると思うし……もっと上を目指す志もいいし。

でも、なんていうかさ…端から見たら面白い性格をしているんだよね。

それが、まぁ…僕をこんな現状にしている原因でもあるわけで…。

僕がちょっとした出来心でからかったりすると、慌てたり、顔を赤くしたりして……ホント見てて飽きないんだよね。
ちょっと困ったりする顔だって可愛いし…あ、もちろん照れたりする顔とか笑ったときの顔の方が一番可愛いんだけど…

「って、違う違う……」

なに考えてんの、もう!

いつの間にかずれてるし…。
ハァ……これは重症だ。

僕はアイドル。マジになったらダメなんだって。

さっきから春歌ちゃんのことを考えているだけでドキドキする鼓動を無理矢理押さえつけるが、おさまることはない。

違う。これは違う。

アイドルとしてのプロ意識が強いのか、それとも先輩としての示しをつけなければいけないと思っているからなのだろうか、ここ最近は春歌ちゃんを思い浮かべては自分の気持ちに否定する毎日。

「ハァ、もうどーしよ」

なんて口に出すと

「考え事ですか?」

と、お茶を入れてきてくれた春歌ちゃんが声をかけてきたので思わずドキッとしてしまった。

「………あ、うん。たいしたことないから大丈夫だよ?」

「でも、さっきから様子がおかしいですし、ため息もついていたので……」

「それは……」

春歌ちゃんのことで悩んでいたんだよ。

なんて言えるわけがない。
僕の顔を覗いてくる彼女の顔にも鼓動が異常なほどに早くなる。
そのためうまく頭の中で考えがつかない。

あぁ…もう、なんていえばいいのかな。

内心、困り果ててそんなことを思っていると春歌ちゃんが口を開いた。

「もしかして、体調が悪いんですか?」

「…え?」

「最近まともに休んでいないようですし、もしかして熱とか……」

と言って、僕の額に掌を当ててくる春歌ちゃん。
その瞬間、彼女の触れたところだけ異様な熱が出た。

あ、ヤバイ。

顔が赤くなりそうなほど恥ずかしくて、春歌ちゃんを直視できない。

「こ、後輩ちゃん、ホントに大丈夫だから、ね?」

僕はそっと春歌ちゃんの手に触れて下ろさせる。

天然って怖い。

そう感じた僕は苦笑しながらもう一度、大丈夫だよと言った。

「でも……」

「確かに、今ちょっと調子悪いけどたいしたことないよ」

それに、まだ僕若いんだから。

と付け加えると春歌ちゃんは困ったように笑ってくれた。

「あ、……あの!私に何かできる事はありませんか?」

少しでも僕の負担を減らしたいのか…僕を気にかけて春歌ちゃんが言ってくれたけど、実際具合は悪くないから春歌ちゃんが僕のために何かしてくれることもないんだけど……。

僕に向けている瞳が何かやらせてほしいと強く訴えているように思えて断ることもできない。

春歌ちゃんに、やってほしいことか………。

……………。

「膝枕とか…」

「え?」

「……え?……あ、いや、違っ!」

違う!ちょ、タンマ タンマ!違うって!

何言ってんの僕!
本気になったらダメだとあれほど言い聞かせても、やっぱり元は素直でつい本音が出てしまった。

あぁもう!春歌ちゃんも困ってるじゃん!

「な…なーんちゃって!本気にしちゃった?」

と、いつも通りにおどけて笑いながら言うと…

「…や、やらせてください!」

と春歌ちゃんが言った。

「……え?」

聞き間違い?
なんて思ったが、春歌ちゃんの顔は真剣だった。

「今、私にできることをやらせてください!」

僕が有無を言う前に春歌ちゃんは僕の隣に座って膝を整えてさぁ、どうぞ!と言わんばかりにこちらを見た。

うん。まって……。

いや、確かに言ったのは僕だけど、まさか本気にするなんて思わなかったし…。
それにほら、僕は先輩で春歌ちゃんは後輩だよ?
確かに仲はいいけど、恋人でもないし…。
それに17歳の女の子に25歳の僕が膝枕って!あ、でも心は永遠の16だから……
とあたふたしていると、春歌ちゃんが僕の手に触れた。

「………休んでください」

…………。

ノッカーウ!!!
アウトォオオオオオオオオオ!

今の一言で僕はさっきまで考えていたことが吹っ飛んだ。

僕はゆっくりと頭を傾けて春歌ちゃんの太股におろす。

………うっわ、想像していた以上にヤバい。

逆に恥ずかしくて休めないよこれ!
っていうか春歌ちゃん無防備すぎない?
まさか、おとやんとかトッキーにもしてるとか?

う"、直に春歌ちゃんの太股の柔らかさが………。

もう思考がめちゃくちゃ。

当の本人もやっぱり恥ずかしいらしく、顔を赤くしている。

……無理なしなくてもいいのに。

でも、僕のことを思ってやってくれることがとても嬉しかった。


その後、おとやんとトッキーが帰ってきてその場面に立ち会ってしまい、………僕はその二人のせいで2時間の正座とお説教をくらった。


End



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