秘め事(1/19)
[01]
「へぇー。屋上って入れるもんなんだ」
「先輩にね、鍵の開け方教えてもらったんだー」
歪に折り曲げたヘアピンを使って鍵を開けると彼女のミヒロは得意げに笑ってドアを開け、俺の腕を引っ張った。
「…おわーっすげぇ!」
春晴れの青空を仰ぐと柔らかい風が吹き抜けた。
広々としたコンクリートの地面。錆びたフェンス。見慣れない光景に胸が躍ってフェンスに駆け寄る。見下ろすと、通学路や公園に咲き誇っている桜が風にそよいでいた。
「景色最高だな。ここで花見し…っ」
隣りにいるミヒロに興奮気味に笑いかけると、唐突に顔を引き寄せられて唇を重ねられた。
軽いキスかと思いきや舌が伸びてきて小慣れた動きで自分の舌を絡めとられる。濃密なキスにさらにふくよかな胸を押し付けられて嫌でも俺の中の性が反応してしまう。
「…っえ…、ここでヤりてぇの?」
「だってこういうシチュ超燃えるじゃん」
俺は心の中でため息をつきながらも自分からキスをしてミヒロをフェンスに押し付けた。ミヒロは乱暴にヤられるのが好きらしい。ブラウスを強引に捲し上げて胸を鷲掴む。
…交際を初めて一ヶ月。俺はミヒロに飽きられないようになんとか彼女の強すぎる性欲に付き合っている。
中学の頃に恰好つけて髪を染めたりピアスを開けてちょっと不良っぽいグループに入るとそれなりにモテるようになって彼女もできた。でもこれまで一度も三ヶ月以上続いたことがない。
今度こそ長く付き合って一生を共にできるような関係になりたい。その思いで、出来る限り必死に彼女に尽くしている。
「…あっ…、ミヒロ、ゴム持ってる?」
「んんっ…! …へ? 持ってないけど?」
「あー…、ここでヤると思ってなかったから俺も今持ってないんだよね」
「えぇー?別に付けなくていいじゃん」
「だからそれは絶対ダメだって」
そう言うと途端にミヒロが不機嫌な表情になった。嫌われたかもしれない、とギクリと心臓が凍る。
「もー…次は絶対持ってきてよね」
ふてくされながらもミヒロは地面に膝をついて俺のモノを制服の隙間から取り出して咥え始めた。
…とりあえず嫌われてないっぽい。ほっと胸を撫でおろして、いつもミヒロが要求する通りに頭を押さえて嗚咽するぐらい喉を突く。
ふと見上げると遠くの空が微かにオレンジがかっていた。もう少し時間がたてば赤色が濃くなって綺麗なグラデーションになるだろう。きっと今日は月も星も綺麗に見えるはず。
…あーあ。こんな綺麗な景色の中で俺はなんてえげつないことをやってるんだ。
そんなことを思っても下半身はミヒロの巧みな奉仕でみるみるうちに熱が高まっていく。
「…っそろそろ出すぞ。全部飲めよ。こぼしたらお仕置きだからな」
「んっ…、ふ、うぅっ…!」
ミヒロに勉強するようにと押し付けられたエロ漫画の男のセリフをそのまま口にして口内に精液を注ぎ込む。
緩く吸いながらモノから口を離してミヒロは俺を見上げてゴクンと喉を鳴らす。その顔は完全に火照りきっていた。
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