clapとうらぶ 虚空のしろの番外 宗三は自分の主に密命を受けた。 「新しくきた刀剣男士たちの不満を探って来い」 と。 【不満】 愛しの主の密命はとても可愛らしいものだった。暮らしづらくないか? 不便なことはないか? 無意識のうちに嫌なことをしていないかどうかなど不安そうに気にかけていて、この度はそのことを聞いて回るのだ。 宗三はどこにいるのだろうかと思いながらふらふらと歩いていれば、縁側で毛づくろい、もとい髪を梳かしている小狐丸がいる。そっと横に座り、小狐丸を見ながら不満はないか、と問う。 「主様への不満、とな?」 はて、と困ったように小狐丸が首を傾げる。これはなさそうだ、と宗三が思いながら根気強く待っていればあ、と考えついたように小狐丸が笑った。 その回答を聞いたら宗三は数秒黙ったのち「きっと改善できません」と答えるしかなかった。 それから三日月、鶴丸、一期、光忠、蛍丸、江雪、岩融と御手杵と回って小狐丸のような回答を貰って笑うしかなかった。 回答が異なっていたのは蜻蛉切だけでニュアンスは違うもののだいたいは同じことを言っているのに違いない。 傷つくだろうな、と思いながら主の部屋へと向かった。 「僕です、入りますよ」 「ああ」 そう言いながら中に入れば書類仕事をしている主がいて、その姿はとても凛としている。 そっと横に座って顔を覗き込めばその視線を一身に書類が受け止めていてズルい。 「……どうした?」 「聞いてきました」 「……え、ああ。報告を」 忘れていたな、と思いながら向き合った主を見る。 「まず、大方の意見が胸がない」 「……は?」 「もっと胸が欲しいと」 「待て待て待て、何を聞いてきたお前」 「だから、不満を」 「この本丸についての不満とかで、……え?」 「女性らしさももう少し欲しいと」 「ねえ、ちょっと待って」 「慎ましさを持ってほしいと。ちなみにこの本丸への不満はないそうです」 そう言えば顔を押さえながら項垂れる主を見ながらくすくすと宗三は笑う。 「貧乳」 「黙れ、どうしようもないんだ。……どう答えた?」 若干涙目な主を見ながら宗三は微笑んだ。 「きっと改善できません、と」 「……宗三のばか」 「じゃあ、なんて言えばよかったんですか? 僕が大きくさせますとか? 喜んで協力しますけど」 「嫌い。打刀と太刀大嫌い」 主は顔を覆いながら机に突っ伏した。ばか、と言い続ける主を見ながら宗三は頭を撫でた。 かわいいと言うよりも綺麗な主。 「で、大きくさせてもいいんですか。直接触って」 「……来るな、触るな、卑猥な想像をするな!」 と、言いながら逃げていった主は「堀川ぁああ!」と叫んで本丸を走り抜けていった。 脇差以下でもきっと青江と薬研は無理だろうな、と思いながら走っていった方に歩き出した。 ――――― 総じて貧乳より巨乳がいい新メンバー ――――― 返信がいらない場合は最後に「★」をつけてください。 TOP |