※※第338話:Make Love(&Aculeate).205







 「ん…――――――…っ!」
 ナナが絶頂を得ると、薔はそっとくちびるを放した。
 「おまえから素直に誘ってくれて、嬉しいよ……」
 彼は丁寧に、顎や頬へもキスをする。
 膣が収縮するナナも嬉しくて、お腹のうんと奧のほうまで彼の猛々しさを感じていた。

 早く中に出して欲しくもあり、もっといっぱい突いて欲しくもある、それに、出した白濁を激しく泡立てて欲しくもある。


 パンパンパンッ――…!

 躰がぶつかりあう音は、速く高くなった。
 この音が大丈夫かどうか、気にしていられる余裕はナナにはこれっぽっちもない。

 「俺も正直、我慢できそうになかった……」
 おでこにキスをすると薔は微笑みかけ、同じ気持ちであったことを教えてくれた。
 だったら、お願いをしなくても襲ってもらえたのだろうか……ナナはとたんに恥ずかしくなる。
 彼は優しいくせして、意地の悪いやり方で彼女の感情を引き出す天才だ。
 同じ気持ちだったという純粋な嬉しさの奧に隠された、羞恥をすでに見つけ出していた。


 「ああ…っんっっ!」
 絶頂を得たナナは嬌声を響かせそうになり、すかさずくちびるを奪われる。
 膣に出し入れされる彼の鼓動はどんどん高まり、彼女を堪らない恍惚へと導いていた。

 この、鼓動も体内で感じているときは、至福のときだった。
 どんな場所にいても、唯一無二の悦びを打ち付けてくれる。

 「……ん……」
 収縮を強められた薔は甘い声を漏らし、キスをより一層濃厚にさせた。
 学校で交わしているのだとは信じられないような、淫靡なキスだった。

 くちびるを密着させていても、舌がどのように動いているのか音でわかったし、くちびるを動かす際には舌の艶かしい絡みあいが覗いて見えた。
 互いに呼吸を合わせて、同じタイミングで猥りがわしく零れさせる。


 「んんんっっ!」
 ナナはまたしても絶頂となり、乳房を大きく揺らめかせた。
 「……っ!」
 ほぼ同時に薔も射精をして、子宮目掛けて勢いよく迸りを注ぎ入れた。
 収まりきらず溢れ出してくる体液の隅々まで、生き生きとして彼女を支配した。



 「っん…っ、あ…っ、」
 くちびるを放され、ナナは彼を締めつける。
 この白濁でもっともっと、中を充たされたい。
 何度でも中出しされて激しくされて、声を我慢することを強いられたまま、意識が飛ぶほど責められたかった。

 「抜いてもいいか?」
 危ない状況だからか、薔はわざと確かめてくる。
 ナナは彼のことだけを考えて、必死になって首を横に振る。

 「我が儘言うなよ……」
 薔はくすくすと笑い、囁きでくちびるをなぞり一度強く奧深くを突き上げた。
 「ん…っはあ…っんっ、」
 躰を反らしたナナは期待に躍る、抜かずに過激に、中を突いてもらえそうで。


 ふたりは合わさったまま、また、くちびるを重ねた。
 危険な香りはその表面ではなく中核にこそ、毒針を持っているものなのだ。















  …――Never let me go.

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