※※第327話:Make Love(&Cuddle).198








 ナナは大喜びで、食後のデザートとして彼がカットしてくれたスイカを食べていた。
 スイカの名産地から送られてきた、珠玉の一玉は見事な手捌きで食べやすい形にカットされていた。

 「美味しいスイカはフランスにあったんですね〜!」
 送り主が夕月だと聞いていたナナはてっきり、フランスのパリ産のスイカだと思っていたが、それは国内のどこかに必ずあると言われているスイカの名産地に夕月の代理で如月が発注をしてスイカの名産地から送られてきたスイカである。
 さらに突き詰めてしまうとすいかの名産地はアメリカの童謡が元となっているし、とんもろこしの花婿と小麦の花嫁が結婚式をあげるっぽいのだがイネ科とイネ科がウリ科で結ばれるというパラダイスもいいところなのがスイカの名産地だった。
 あの娘の晴れ姿がきれいなことは、三度にわたって保証されている(※ご存知ないかたは『すいかの名産地』をご検索)。




 「おまえはいつも可愛い顔して食うな?」
 「おわああ!種を吹きそうになるのでやめてください!」
 美味しそうに食べる姿を眺めていた薔はさらりと告げて、種を吹きはしなかったがナナは真っ赤になった。
 手にしているスイカも赤くて、やけに可愛いとこもいちいち可愛い。

 「つうか、このスイカ、送り主は夕月さんだが手配したのは如月さんだぞ?珍しく如月さんからの手紙まで入ってたしな。」
 「そうなんですか、でしたらこのスイカは、日本なんですね!」
 手配したのが如月だと知ると、ナナはしみじみとスイカを見た。
 薔はやや怪訝そうな表情で、どう考えても如月が購入してきたのではない可憐な色合いの封筒を見ていた。
 淡いピンクの封筒には、“どうかナナ様とご一緒にご覧くださいませ”と記されている。


 「何かあったのか?如月さん……」
 心配した薔はナナの隣で、レターオープナーを使って封を開ける。
 封筒がやけに可憐なのが、ジムや筋肉とどうしても結びつかなくて違和感を覚えた。
 贈り物にそっと入れてあった手紙のわりには、しっかりと糊とテープで封がされていた。

 「如月さんがどうかなさったんですか?」
 彼の雰囲気につられて心配になったナナは、頬にスイカの種をつけたまま手紙を覗き込む。




 “薔様、ナナ様へ

  私如月、この度、結婚をすることとなりました。
  まだプロポーズはできておりませんので、立派な男になるべく、ジムに足繁く通っている次第でございます。”

 と書かれた可憐な便箋と共に、美女と寄り添って照れているマッチョな如月の写真が同封されていた。
 あまり進んでいないのかと思いきや、如月はプロポーズもしていないうちから結婚をすることになったと言い切れるまでに恋を発展させていたようだ。

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