※※第323話:Make Love(&Make Love!).23








 「ねぇねぇ、屡薇くん、男湯のほうはどうだった?楽しかった?てか薔さんとは相変わらずイチャイチャしてたの?あたしは先輩と愛羅ちゃんに胸揉まれて、ちょっと気持ちよかった……」
 「はあ?」
 豪華な夕食に感嘆したあと、ふたりきりになった真依はさっそく男湯についての質問攻めに入った。
 質問攻めだけかと思いきや、いきなり明かされた女湯の事実に衝撃を受けた屡薇は少し、興奮している。
 可憐なくせして邪悪な妖精が女子高生たちの餌食になるのはなかなか、エロいものがあった。

 そんな屡薇は真依の期待通りか期待以上なのか、薔に対して「純粋な興味としてちょっとだけ触ってみてもいい?」とまで確かめているのだけど、今はそれを教えてあげている場合ではない。

 「ちょっ、真依さん……胸揉まれたっていうその話、もっと詳しく聞かせて?」
 「あっ、綾瀬くんからLINE来てる。」
 女湯での様子を詳らかに語ってもらおうと食いついた屡薇の隣で、荷物の整理をしようとしていた真依はスマホを手に取った。
 どうして元ストーカーと未だにLINEできているのかが謎すぎて、屡薇はたちまちイライラし始める、あと俺の話を聞け!とも思っている。

 「何で綾瀬なんかとLINEしてんの!?全部切らなきゃダメじゃん!」
 「だって、綾瀬くんも屡薇くんの大ファンだから話が合うんだもん。あたしたちはFeaRの話をしてるときが一番楽しいの。それ以外は綾瀬くん、お兄さんの愚痴か悪口しか言わないよ?」
 「ああ、そう……俺の話してんの……てか綾瀬って兄弟いたんだ、どうでもいい情報……」
 屡薇は憤慨して見せたものの、盛り上がっているのが自分のバンドの話題だと知り複雑な心持ちになった。
 おまけにかなりどうでもいい情報を聞かされたため、いささか冷静になる。

 「ファンは大事にしないとね?屡薇くん。」
 「まあ、それはその通り……」
 彼氏が何も言い返せなくなるようたしなめてから、真依はトーク画面を開いた。
 めんどくさいことにならないようにと考え、特に画面を隠したりはしていない。



 すると、

 「……あれ?」
 「どうしたの?」

 真依がたちまち訝しげとなり、心配になった屡薇も後ろからちらっと内容を見させてもらった。



 綾瀬からは、一枚のフォトとメッセージが送られてきていた。

 “高良先輩のおかげで、かわいい友達ができました!”
 というメッセージが添えられている写真には、綾瀬が女の子と一緒にゾンビソフトクリームを食べている様子が写し出されていた(撮影者はあかり)。
 楽しそうというよりむしろ不気味に微笑むふたりの背景には、やけに見覚えのあるお化け屋敷の外観まで、ばっちり写り込んでいた。

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