※※第319話:Make Love(&Love philter).194







 「真依さぁんの話だとぉ、あのヘタレですら薔くぅんの異変に気づけたらしいからぁぁ、ロマンチックよねぇぇ……じゃなくてぇ、相当な緊急事態よねぇぇ……」
 「なぜ“相当な緊急事態”を“ロマンチック”と言い間違えたんだ?桜葉……」
 にっこにこのこけしちゃんは真依からの報告をちゃっかり飛躍させる気満々で、薔の異変に気づけるという屡薇との仲の良さ(腐的なほう)には萌えた。
 だがしかし、ロマンチックは純粋にナナと薔の関係について口を滑らせている。

 疑問を抱く隙があったらゾーラ先生も生徒を監禁してみよう。




 「て、てことは三咲さん……ここ数日間でオレンジジュースしか口にしてないのかな……」
 「羚亜くん、落ち着いて!?そんなふうに怯えてたらあたし、食べたくなっちゃう!」
 「えええ!?」
 コンビニへ一人で買い物に来たときの薔の、よくよく思い出してみれば妖美に狂気的だったかもしれない姿に震撼した羚亜はぶるぶると震え、興奮している愛羅になだめられると別の意味で震撼した。
 ナナは毎日たらふく彼の手料理を戴いており、わくわくザザえもんワールドデートではレストランでランチもしましたよ。
 みんな狂気的なほうへと持っていきたがるな。

 そして、この監禁疑惑の発端者は紛れもない、羚亜だった。
 こんなデマを流したと知られたら、どうなることか……についてで震えるのが最も正しい震撼である。


 「ナナちゃぁんにはもうぅ、電話繋がらないしぃぃ……」
 ホロォリとするこけしちゃんは、一回しかナナに電話を掛けていない。
 今は繋がるんだけど、なんか監禁の妄想が面白いので試しにまた掛けてみようとは微塵も思っていない。
 「そうか、それは本当に、一大事だな……」
 彼女のあたまをよしよしした醐留権は大きな勘違いをしていた、電話はすでに解約されてしまったのかという勘違いを。
 ナナの携帯電話の番号は、許可が下りた人物しか知っておらずこの中ではこけしちゃんしか知らない。

 こけしちゃんは、圏外になっている確認はしたが解約されたわけではない。
 言葉選びにより敢えて、本格的な一大事が作り上げられている。


 「てことはデートに誘うには、薔さまに連絡しなきゃダメってこと?」
 首を傾げた愛羅は、とんでもないことに気づいた。
 ナナに連絡がつかないのなら、カップルだらけでデートを計画した場合、否応なしに薔へ話を持ち掛けることになる。

 「あぁぁ、それだと確実に断られるぅぅっ……」
 「え?薔くんは電話出てくれる前提なの?」
 こけしちゃんはニコニコと項垂れ、目をぱちくりさせた羚亜は監禁してても電話には出てくれるんだあ……と若干感心した。

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