※※第309話:Make Love(&Desire).187
とりあえず煩悩滅却とかのためにも屡薇が曲作りに励もうとしていると、真依がシャワーを終えてリビングへ戻ってきた。
彼女は彼のTシャツ一枚しか、身に纏っていない。
一箇所が元気になりすぎた屡薇は曲作りに励んでいる場合でもなくなってしまった。
「………………。」
互いに何か言いたそうな雰囲気で、黙ってみる。
屡薇はそういえばその後の綾瀬のことを調査したほうがいいのかはたまたとも考えたが、やはりそれどころではなかった。
据え膳食わぬは男の恥とも言うが、逆に食うのが恥ずかしいくらいの据え膳状態だった。
「屡薇くん、このTシャツあたしも持ってるよ?」
「まあ、グッズだからね……」
そのうちにふたりは他愛もないことを話し始めた。
真依は心を落ち着かせるべく、今ここに彼のTシャツを着て立っているのは薔さんなんだと考えてみたらエロすぎて余計に興奮した。
あわよくば腐的なほうでめくるめきそうになっている。
「じゃあ、俺もシャワー浴びてくるわ……」
目の毒に困った屡薇はひとまず、水のシャワーでも浴びて頭を冷やしてこようと思った。
真依の脳内が腐的な方向へ傾いていることなど知る由もない。
「ええっ!?」
驚いた真依は何の躊躇いもなく、今聞きたいことを聞いてしまった。
「エッチしたくならないの!?あたしそんなに色気ないかな!?」
と。
薔さんだと色気全開なのに……のバージョンがあってこその、素朴な疑問です。
「ばかなこと言ってんじゃねぇよ、このド淫乱がーっ!」
屡薇は泣きそうになった、これからフル稼働するであろうとある一箇所が。
AVみたいな言葉を投げ掛けておりますが、別によしとしてください。
「俺の紳士な部分を台無しにしやがってからに!」
「ちょっ……屡薇くん!?落ち着いて!紳士な部分なんてどこにも持ち合わせてないよ!?」
ムードを重んじていた屡薇はもうどうでもよくなり、彼女をソファに押し倒した。
なだめすかせようとした真依はもう、後の祭である。
「……隠さないと見えちゃうよ?」
上になった屡薇は彼女の太股を愛撫して、からかった。
Tシャツをちょっとでも捲られようものなら秘部が見えてしまい、真依は慌てて裾を引っ張る。
改めて、これは彼のものなのだと思い知らされ、ドキドキした。
自分のものではない香気を感じている。
……ここで、ふたつの妖美な夜は次話へと続きます。
…――And they get wet.
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