※※第269話:Make Love(&Sex aid).31







 くちびるが耳を滑り、夢のなかでゆびさきまで縛られていたナナは思わず息が止まりそうになった。
 実際には彼女の息は止まらないのだけど、彼の問いかけは何もかもを見透かしているようで、瞬時に心を鷲掴みにされた。


 「…――――もし、指先まで縛ってたとしたら、奇遇だな…俺がいつも思い描いてんのとおんなじだ……」
 ふっと自嘲気味に薔は笑うと、耳を甘噛みして奥深くに突き当てた。

 「こんなんとは比べものになんねぇほど、食い込ませてる……」
 そして、脚にくくりつけた拘束具を不意に引っ張った。
 脚のほうへと、わざとじわりと食い込むように。



 「あ…っあっあ…っ、あっ…あっああっいっ、いい…っ、イっちゃっ…っ、イっ…っあっ、薔ぅ…っ!」
 しがみついたナナは必死になって嬌声を上げた。
 自分でも何を言っているのかわかっていないほど、彼だけを感じて息を荒らげる。
 「もう少し我慢しな、今度は一緒にイく…」
 すると薔は焦れた腰づかいで、いったん浅くへと移動させた。

 「や…っ!?やら…っ、あ…っあっあっんっ、」
 ヌチヌチと浅くを擦られ、寸止めをされたナナは奥まで切望に狭める。
 「一緒にイくのが嫌?」
 またちょっと深くまで挿れて、彼は吹き掛ける。
 そんなわけはないから、ナナは首を横に振った。


 反応を愉しんでもいた薔は妖美に微笑むと、だんだんとピストンを深めてゆく。

 「あ…っあっ、んん…っ、」
 彼の鼓動も動きに合わせて速くなるのを感じながら、ナナはくちびるを奪われる。
 濡れてぶつかる音がまた濃くなり、聴覚を絶え間なく刺激した。

 くちびるが重なり立てる音も、激しくなる。
 時折零れる息づかいも完全に同調して、ナナは自分で息をしているということを忘れてしまっていた。




 グチッ、グチッ…ズチッ――…!

 「んっはんん…っ、ん…っ、」
 ゆびがきゅっと髪を絡めつつ交差して、幾度となく最奥を突かれていたナナは焦らされたぶんも戦慄き絶頂を得た。

 「んっうっっ…んんんんんっ――――――っっ!」










 「……っ!」
 ほぼ同時に、薔も射精をした。
 子宮目掛けて、欲しがりすぎていた淫水が注ぎ込まれる。
 いくら満たされても、一度では足りなくて、ナナはひたすら彼をきつく吸い寄せる。

 猛る鼓動は放たれてからも収まらず、僅かにくちびるを放したふたりは繋がったまま見つめあった。


 「おまえが望むなら解いてやる……」
 ふるえる脚を撫でて、拘束具を掴んだ薔は確かめる。
 ナナはまだまだ縛ったまましてほしくて、首を横に振り彼へとゆびを絡めた。
 「あああああっっ…っんっっ、」
 そんななかでも一気に奥を突かれて、甘やかな悲鳴を上げてしまう。

 「へえ……このままがいいのか、可愛いな?」
 彼女が望むままに解きはせず、薔は動きを加速させる。
 ナナは何も抑えることなく喘ぎつづけた。








 …――――もうすぐで夏休み、その前に明日は日曜日です。
 エレベーターから放り出された屡薇は一度で、お誘いについてはめげたのだろうか?
 そもそも一度でめげても大丈夫だと思われる返事を、真依は送ってあげたのだろうか?
















  …――He comes again!

[ 40/539 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る