※※第297話:Make Love(&Lust).180








 何とか無事に全カップルが揃って朝食のあとは、やっぱり海で泳いでから帰ろうということになった。
 よくよく考えてみると、ホテルを貸切状態にしてあるのは醐留権先生の権力がなせるわざなので、通常のチェックアウトが11時と言えどもかなりの融通は利いた。




 「羚亜くんにビキニ着てもらえば良かったなあ……」
 「もうほんと勘弁して!」
 愛羅はセーラー服だけでは物足りなかったようで、二日目になると彼氏のビキニ姿まで狙い始めた。
 羚亜は楽しく泳いでいられなくなる。

 醐留権先生と屡薇は全力で、この2カップルが近場で泳がないよう離れて海で戯れた。

 (どうしよう!屡薇くんの水着姿が眩しい…!)
 がしかし、二日目にして初お披露目の彼氏の水着姿に真依はドキドキしすぎてツンのほうが全開になっていたため、さほど警戒する必要もなかったと思われる。

 「あれ?真依さん、どこ行くの?」
 「なんか目がしょぼしょぼするから目薬さしてくる!」
 「じゃあ俺がさしてあげる!」
 「いいよっ!屡薇くんのせいなんだから!」
 「ぇぇえ…?」
 素直に目の毒だと言えない真依は怒りながら、荷物が置いてある砂浜へと戻った。
 水着姿がエロいので、屡薇はちゃっかりあとをついて行っている。

 「あの精神ならぁ、ストーカーも撃退できるかなぁぁ?」
 「彼らなら大丈夫だろう。にしても桜葉、私はいつまで日焼け止めを塗られていればいいんだ?」
 「あぁぁ、ごめんなさいぃ……ヌルヌルしてたからついぃぃ……」
 「………………。」
 こけしちゃんはニコニコと、時間をかけて彼の背中に日焼け止めを塗ってあげていた。
 意識をしてみると確かにヌルヌルしており、そこはかとなく卑猥で醐留権先生は堪らなくなってくる。










 「海辺で食べるお菓子は美味しいですねぇ……」
 「ああ、そうだな。」
 結局二日目も泳がずに、メインカップルはビーチパラソルが作る日陰の特等席にいた。
 もちろんこのカップルだけ、水着に着替えておりません。
 キスマークが全部隠れているのでナナにとっても好都合ではあった。

 これから帰ることもあり彼女は手錠を嵌められておらず、逆に違和感があるくらいだった。



 「あっ!薔っ、“メ”から始まる海の生き物、わたし思いつきました!」
 「まだ覚えてたのか……」
 新しいお菓子の封を開けようとしてくれている彼の隣、しりとりの件を忘れていなかったナナは元気よく“メ”から始まる海の生き物とやらを答えた。

 「メダカ!」









 「……よし、おまえの勝ちだ。」
 「えっ!?いいんですか!?」

 メダカは淡水魚でも、慣れれば海でも生活可能とか何とか。
 ナナはしりとりに最弱なようでいて、彼の溺愛のおかげで今のところ全勝している。


 「メダカ」だけが聞こえてきた他のカップルたちは、海にいるのに何となく川のことを考えていた。















  …――Fun things will continue!

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