※※第289話:Make Love(&Arcanum).177








 パンパンッ…!パンッッ…!

 椅子の軋む音こそしなくなったけれど、ふたりがぶつかりあう音は濃厚になった。
 今、どこに来ていて何をしようとしているのか、時に忘れそうになる、そして忘れそうになると雑音を微かに耳が捉えスリリングに感じた。

 「なあ、どうしてくれる?おまえの可愛さに完全にやられた…」
 妖しく笑った薔は耳にくちづけて、後ろから乳房を揉みしだいた。

 「このまま此処で、お仕置きしちまいてぇな……」

 しかも彼はお仕置きを、してくれるつもりでいるようだ。
 ナナから誘っていきなり欲しい部位にもらってしまったので、お仕置きは妥当でもある。

 それをされることには、本来なら愉悦を覚えてはいけないのだけど。
 何てったって、お仕置きなのだし。


 キュッ……と摘まんでこねられる乳首は、ふるふると熟れて迫り出した。
 鮮やかな赤い色は、彼の色に染まっている証拠だ。

 「っふううう…っっ!」
 弓なりに躰を反らし、ナナは何度目かの絶頂を得た。
 健気に下拵えをしていた淫欲で、彼を受け入れすぎていた。

 「……っ!」
 ほぼ同時に、薔も彼女の子宮目掛けて勢いよく射精をした。
 熱く求める躰の中は、欲しがっていた白濁で充たされる。

 充たされると、また欲しくなる狂おしい中毒性を、その淫水はおそろしいほどに帯びていた。




 ズルッ――――――…

 「っはぁ…っ、う…っ、」

 それでも、一度中に出すと薔は抜いてしまった。
 狭まったヴァギナからはとろとろの体液が溢れだす。

 誰かが来るまえに、これらを何とかしておかなければならない。



 「無闇に煽んじゃねぇよ、ばか……」
 おでこにキスをして頬にもキスをすると、くちびるにも優しいキスをして薔はどこか困った様子で微笑んだ。
 ゆびの背がキスをしたほうとは反対の頬をさすって、熱を冷まさせてくれない。

 でも彼はきっと、この場所ではもう中には与えてくれない。



 焦らしの時間もお仕置きへの入り口だと捉えたナナはまた、そっとくちびるを奪われた。
 舌を絡めたくても絡めはしない、じれったくて甘くて意地の悪いキスだった。

 現在劇場に来ているナナ母お望みの“濃厚”が密かに繰り広げられたことにもなる。








 ちなみに演劇部の皆さんはロビーで普通の飴を舐めたりと和気藹々としていたが、本日の劇のヒーローとヒロインのために鋭く気を利かせてはいた。
 こっそり様子を窺いに行きたいけどそれはダメだ!と、何度も心に言い聞かせている。




 ……恥ずかしい格好で放置中の羚亜はどうされてしまうのか、ナナはどんなふうにお仕置きされてしまうのか、につきましては次話へと持ち越します。















  …――Next is also quite rich!

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