※※第234話:Make Love(&Covetous).139
何日間か降り続いた、淫雨も止み、よく晴れた金曜日の朝のことだった。
「ぎゃああああああああああ!」
朝っぱらから、トイレに入ったナナはおそらく驚愕の叫びを上げた。
朝食の支度をしていた薔は何事かと、そちらへ振り向く。
リビングで戯れていた花子と豆も、ぴたりと動きを止めて悲鳴がしたほうを見入った。
「ナナ…?」
彼女のことを心配した薔は手を止めてすぐに駆けつけようとしたのだが、
「薔っ!大変ですーっ!」
ダダダダダダッ――…!
それより先にものすごい剣幕でキッチンへと駆けてきたナナは、若干青ざめながら大声で口にした。
「薔がいつもいっぱい挿れてくださるところから、血が出ちゃってますーっ!」
と。
「………………。」
朝っぱらからもっと他の表現はなかったのか、とにかく薔は彼女の言い方にかなりムラッときちゃったようだ。
「どうしちゃったんでしょうかね!?わたしっ、ヴァンパイアですのに、こんなところから血がっ……痛くはないんですが…!」
慌てるナナは制服のスカートを掴み、腰を困ったようにもじもじさせている。
「あー…わかったから、おまえ……いったん落ち着け……」
「これが落ち着いていられますかーっ!?薔がいつもいっぱい挿れてくださるところから、血が出ちゃってるんですよーっ!?」
片手で髪をくしゃっとやった薔は俯き加減に呟き、慌てるナナは彼のムラムラに無意識の追い討ちをかける。
何となく安心したわんこたちは、戯れを再開した。
「俺はそんなに昨日……激しくしたのか?」
「えっ!?昨日どころかいつも激しいですけど、それがどうかなさったんですか!?」
薔は俯いたまま自問をし、ナナはばか正直に答える。
若干青ざめていた彼女は、ここらへんから頬を赤らめだした。
「よし、とりあえず確認してやる、見せてみろ。」
「えええっ!?ダメですよ…っ!そんなっ、とこ…っ!」
「俺がいつもいっぱい挿れてるとこなら何も問題ねぇだろ。」
「きゃわあああ!止めてくださいぃ…っ!」
腕を引かれたナナはスカートを捲り上げられ、真っ赤っかとなった。
ふたりは朝からR指定行為をしているわけでは、ありません、たぶん。
薔は特に、“自分がいつもいっぱい挿れているところ”をくぱあっとやったりはせずに、あくまでも彼女の羞恥を愉しみたかっただけのようで、
「つうかおまえ、傷の場合はすぐに治るはずだよな?」
よくよく考えてみれば答えは一つしかなく、堂々と宣告してきた。
「だったら、生理が来たとしか考えられねぇだろ。」
…――――――ヴァンパイアなのに!?
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