※※第263話:Make Love(&Greedy).159







 「おまえはこいつを着ろよ?」
 「えっ!?わたしはこれなんですか!?」
 そして薔は彼女がさっき可愛いと言いつつも放ったベンガル虎の着ぐるみを手に取り、ナナに手渡した。

 「可愛いのを選んでくださいましたねぇ……」
 自分が可愛いと言ったから選んでくださったのかと、ナナにはだんだんと感動が沸いてくる。


 (ヴァンパイアとベンガル虎って、どんなカップルですか……)
 他にもナース服とかチャイナ服とかメイド服とか用意してあるのだけど迷わず選ばれたベンガル虎の着ぐるみを見ていると、確かに女神にはベンガル虎くらいの風貌が似合うような気もほとんどの皆さんにはしてきた。
 絶対に見せたくないからだと簡単に悟れてしまう羚亜と愛羅は、ふたり揃って腹を押さえながら笑いを堪えていた。
 まさかのベンガル虎、と。




 「俺以外の誰にも見せたくねぇしな、可愛いのが全部隠れるからおまえにはうってつけだ。」
 薔はさらりと、ベンガル虎はただの犠牲で可愛い彼女をなるべくなら誰にも見せたくないのだということを告げた。
 いくら隠しても薔さまの隣にいらっしゃる時点で三咲さんだと誰しもがわかるんですが、隠れているからいいのか……の心意気で誰も何も言わずにおいた。

 「えーっ!?なんか狡いですーっ!」
 ベンガル虎の着ぐるみを手にしたまま、ナナはびっくり仰天する。

 せっかく、ヴァンパイアの格好をした彼の隣に並ぶのだからと、自分で選ぼうとしてみたものの、

 「これじゃダメですか?」
 「俺しか見てねぇとこでならいくらでもやれ。今日やった場合は見た奴全員ぶっ殺す。」
 「わたくしトラさんにいたしますねーっ!」

 チャイナ服を手に取ったら待ち受けているのは戦慄だった。
 けっこうなスリットが入っているため、余計に許可は下りないだろう。

 優勝確実と言われているカップルは真っ先にヴァンパイアとベンガル虎(※着ぐるみ)を選んでいったが、残りでもけっこう選り取りみどりで他のカップルたちもコスプレを選び始めた。



 「羚亜くんにはチャイナ服着てほしいなあ!」
 「俺、男だけど!」
 「え〜?めちゃくちゃ有りだと思う!」
 メインカップルには残念ながら選ばれなかったけっこうなスリット入りのチャイナ服は、羚亜と愛羅カップルの彼氏のほうが着せられる破目になりそうだ。
 なんだかんだで女装がくればこけしちゃんも悦ぶだろうし、盛り上がりそうではある。






 ……次回はいよいよ、急遽仮装イベントとなった、カップルコンテスト開催です。
















  …――Is it possibly full of ups and downs?

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