※※第262話:Make Love(&Make Love!).16







 「……っ、」
 収縮に堪えた薔はさらに動きを激しくして、両手で乳房を揉みしだいた。
 (や…っ、ダメ…っ、声…でちゃっ…っ、)
 ナナは快楽の目眩を感じて、声を我慢することがままならなくなる。

 「はあっ…うっん…っ、あっ…あんっ、」
 躰を反らした彼女は思わず嬌声を上げてしまい、抑えようとしても手遅れだった。

 「自分で抑えらんねぇなら、仕方ねぇな……」
 薔は彼女のくちびるをゆびで撫でた後に、口内へと何本か滑り込ませてくる。


 パンパンパンッ…パチュッ…

 ふたりがぶつかりあう音も相当だが、こちらは何も抑える必要はないのか。

 「んっ…んは…っ、はっ、んっむっ…っ、」
 ナナは彼のゆびを懸命にしゃぶりながら、またしても絶頂を得た。

 「んんんうっっ!」
 躰が大きく跳ねて、乳房もぶるんと揺れ動く。




 「……っ!」
 ほぼ同時に薔も射精をして、彼女の最奥へ勢いよく注ぎ込んだ。
 子宮まで完全に満たしてゆく淫水を、恍惚の表情でナナは感じ取る。
 体内は彼の鼓動に支配され、もっと欲しくなってしまいしきりに膣は狭まる。

 すると、薔は抜いていってしまい、口内からゆびも抜くと彼女を優しくだが強引に抱き上げた。












 ズッッ――――――…!

 「はっ…っ!んんっ…っ、」
 跳び箱のうえに乗せられたナナは脚を開かれ、挿入された。
 声を響かせそうになったくちびるは、ディープキスで塞がれる。

 ズッ、ズプッ、ズチッ…ズチッ…

 彼が突き上げるたびに、白濁が泡立ち溢れだしてきた。
 ナナは彼のシャツを掴み、ゆびさきまで淫靡にときめいてしまう。

 跳び箱が軋んで、音が気になりはするけれど、構ってなんかいられない。


 「んっ…はっ、ん…っんっ、」
 くちびるを触れあわせて、舌を絡めているなかで、躰を触れあわせて、性器を絡める。
 息もできなくなるほどのくちづけや腰づかいに、全部を何度でも持っていかれる。

 「……っ、は…っ、」
 舌を吸って少しだけくちびるを放した薔は、ゆびに彼女の髪を絡めて、吐息混じりに囁いた。

 「…――――俺はおまえだったら、殺してもいいと思ってる……」






 快楽により朦朧とした意識のナナでも、彼の言葉は不思議と髄にまで伝わってきた。
 驚きもしなければ悲しくもなかった、ただただ、幸せだった。


 「一人で逝くのは嫌だ、どこまでもおまえと一緒がいい…」
 優しいくちづけを落とした薔は、自嘲気味に笑って見せる。

 「そんなことを考えてる愚かな俺を、いっそおまえが殺してくれてもいい……」







 彼の言葉はどちらも、同じ結末を意味していた。
 ヴァンパイアのナナは、F・B・Dを持つ薔を――殺すことができない、本来ならば。

 思い知る、想いの深さと、

 思い知らされる、想いの深さ。

 ふたりは同じ未来へと、向かっているのだろう。















  …――That place isn't darkness.

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