※※第259話:Make Love(&Festival).156














 空は運よくそら青く、学校の校門には美術部の皆さんが渾身の作として手掛けた、アーチというよりは前衛的なアートの何かしらっぽいものが立て架けられています、

 いよいよやってまいりましたは学園祭の一日目です!


 開会式については、やはり校長先生もここぞとばかりにでしゃばらずにはいられなかったようで、生徒会長くんとの一悶着はあったんだろうなということで割愛させていただきます。





 ちなみに一日目は、それぞれのクラスで企画を出して、どのクラスが一番人気があったのかを競うというのがメインになっている。
 この、“どのクラスが一番良かったのか”というのは他校の生徒でも参加できるようで、学校の皆さんには(教師含む)開会式のときに、赤くて丸いシールを一人につき一枚ずつ配られた。
 他校の生徒さんには、校門にて一人につき一枚ずつ配られることになっている。
 そして、誰しもが一枚しか持っていないそのシールを、自分が「一番良かったな」と思えたクラスの入り口近くに掲げられている模造紙にぺたっと貼りつけて、そのシールの数によって最も人気のあったクラスは決定される仕組みとなっていた。

 これなら楽勝だと思った醐留権先生は、冷静な顔をしつつ心でガッツポーズを取った。
 学校の皆さんはほとんどが私服という状況下で、ゾーラ先生は相も変わらずきちんとした夏の(この物語は7月の上旬)スーツ姿だった。


 ラフでも様になっている私服姿という眼福に皆さんは惚れ惚れしているなか、薔はメイド喫茶をやらされるナナのことが心配すぎてもはや学園祭どころではなかった。
 ナナはけっこうな浮かれ気分で、早くメイド喫茶で自分だけのご主人様をおもてなししたいと張り切っている。
 唯一のご主人様は、今日は執事に徹することになっておりますけれど。


 三日目のメインイベントであるカップルコンテストは、ことごとくNGを食らった挙げ句にカップルコンテストとして開催できることになったのかはよくわからないのだが、とにかく学園祭はスタートいたしました。
 割愛すると言っておきながら、開会式についてけっこう描いてしまった気は否めません。





 「シールなくさないようにねぇぇ?ナナちゃぁん。」
 「うん、ありがとう、こけしちゃん!」
 メイド役をやる乙女たちは仲良くはしゃいでおり、こけしちゃんはにっこにこと的確な念を押してくれた。

 じつはナナは前日にばか正直に、自分のクラスが一番になりたいという願望を彼氏に漏らしてしまっていた。
 となれば、醐留権先生の確信は空しく……薔は2-5の優勝に全力で協力するであろう。

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