※※第254話:Make Love(&Sex aid).28
















 濃厚なエッチ三昧で愛が深まり、なおかつ一枚の写真により謎も深まった週末も明けて月曜日となった。
 ジャグジーつきのお風呂でももちろん、しちゃったわけなのですが、そこはめくるめくご想像にお任せいたします。

 別荘にいてエッチに没頭していないあいだはずっとミニチェストの五段目の引き出しについてが気になっていたナナだったが、薔は特にミニチェストへ触れることもなかった。
 偶然にも引き出しの下に挟まっていた写真を発見さえしなければ、もともとは引き出しには何も入っていなかったのだし。




 彼に見つからなかったことには心底安堵したものの、ナナの胸は痛く締め付けられた。
 忘れようと言い聞かせているうちはまったく忘れられていない証拠だ、もしかしたら、全員事故で亡くなってしまったと思っていた薔の家族は、ほんとうは一人だけ――――――…

 そんな考えが、頭の中をかすめてしまう。
 伝えたくても伝えるべきではないと判断し、ナナはあの写真についてはいっさい触れることなく彼と共に別荘を後にした。
 無性に切なく感じるほどに、薔のことを愛おしく思えた。

 彼から聞いた話を思い出してみれば、竜紀に薔が殺されかけたときに真っ先に駆けつけてくれたのは夕月だった。
 夕月はおそらく、世新 竜紀という男の異常性に気づいてはいたのだろう。
 それに、ナナは知っている、夕月は薔と同じF・B・Dの持ち主だということを。

 “ただの偶然”という言葉では片付けられない偶然が、あまりにも重なりすぎている。
 ナナは薔と一緒にいられているからこそ時にあたまをなでなでとかしたくなったが(どさくさ紛れではなく)、そこは何とか平常を保つことができた。
 あたまなでなでについては……別にしても良かったと思われますが。




 そしてやって来た月曜日、学校は今週の金曜日から始まる三日間の学園祭モードにかなり染まっていた。
 今年のメインイベントであるカップルコンテストでは、昨年のような名場面が見られたりしないかというような期待が沸いてくる。
 生徒会の皆さんも勝手にカップルコンテストへエントリーさせたのに何のお咎めもなしだったために、浮かれ気分で学園祭の準備に励んでいた。
 生徒会の皆さんの命を笑顔一つで救ったのは、ヒロインでございます。




 ナナはまだ写真のことについてを思案してしまっていたが、登校し席に着こうとしたとたんにっこにこのこけしちゃんに声を掛けられた。

 「ナナちゃぁん、おはようぅ。」
 こけしちゃんのにっこにこ具合からして、何かしらの粋な計らいはあると思われる。

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