※※第250話:Make Love(&Sensual).149
こわくなる、ほどに愛している、愛してゆく。
おちてゆく、までに愛されている、愛しあっている。
傘もささずにびしょ濡れで真依に会いに来た屡薇はとりあえずシャワーを貸してもらい、ついでに二度目の体験となるが彼女のピンク色のジャージも上下セットで貸してもらった、相も変わらず丈は見事なまでに足りていない。
内心では怒っているのか喜んでいるのかちょっとよくわからなくなりかけていた真依は、彼のあまりにもミスマッチな姿にめちゃくちゃ可愛いとか思ってしまい失笑しそうになり、慌てて視線を逸らした。
なかなかイケメンについて、長時間の既読無視について、互いに言い出したいことがなかなか言い出せなくていささか気まずい雰囲気も漂う。
「屡薇くんてほんといきなりだよね?お願いだから前日までには言っといてほしいんだけど……」
努めて不機嫌を装い俯きながら、真依は彼が好きな玄米茶を煎れてくれている。
「うん、俺たぶんいきなりが好きなんだよね……」
シャワーで濡れた髪をタオルで拭きながら、屡薇は素直にいきなりが好きなことを認めた。
「あたしの都合も考えてよ!」
「いちおう考えてみた上でいきなりにしてるよ?俺は真依さんに迷惑掛けてぇわけじゃなくて、困らせてぇだけだし。」
「はぁぁぁぁぁあああ!?」
せっかくの選りすぐりのBLをまったりと読み耽ろうとしていたというのにどこが迷惑を掛けていないのかと怒りに満ちた真依は顔を上げてしまってから、ミスマッチが再び視界に入りきて吹き出しそうになった。
無性に屡薇に、瓶の牛乳を持たせてみたくなる(銭湯モード)。
そして何だかんだで彼は、真依がしっかりとプライベートな時間を確保できているときに、いきなりを狙って来るのだった。
「で!?なんか用でもあったの!?」
笑いを堪えて再度視線を逸らした真依は、極力ぶっきらぼうに尋ねた。
あたたかい玄米茶の湯飲みが、テーブルへと置かれる。
「会いたかったってのが一番なんだけど……用はあった、真依さんに確認しとかなきゃなんねぇことがあんの。」
とことんかっこつけて純粋に会いたかっただけでいきたかったものの、そうもいかない屡薇はお茶を戴くためにテーブルの前へ胡座をかいた。
どことなくかっこつけているくせにピンクのジャージが窮屈そうで、真依はまた笑いを堪える。
むしろこのジャージはもう、彼氏にあげてもいいとさえ思えている。
服装が余計にミスマッチになるくらい神妙な面持ちで、屡薇は問いかけてきた。
「あのさ、真依さんとこの美容院に、けっこうなイケメンいるでしょ?」
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