※※第249話:Make Love(&Amenable).148
テスト期間も終えた金曜日の朝のこと。
正面玄関を入ったところにある掲示板に、学園祭の目玉イベントである“カップルコンテスト”のエントリーシートがででんと貼り出された。
特別推薦枠のカップルにだけは了承を得られていないのだけど、10組のカップルがエントリーされていた。
ざわざわと確認していく生徒たちは、(よくエントリーの許可を得られたな……)と生徒会の皆さんに感心すらしているが、実際のところは得られていない。
学園祭を盛り上げるためとは言えども命は惜しい生徒会の皆さんは、今日は顔面蒼白となりある程度の覚悟はできているつもりだった。
「二位になれるように、がんばろうね!?羚亜くん!」
「最初から目指すのは二位なんだね?愛羅さん……」
彼女が勝手に立候補したために見事にエントリーできた愛羅と羚亜は、潔く一位ではなく二位を目標にして挑むようだ。
言うまでもありませんが、教師と生徒のカップルは学園祭のイベントに於いては禁断すぎるので一組もエントリーしていません。
ふざけて誰かが推薦したのか、教師同士のカップルなら一組だけエントリーされていた(もちろん男性のほうは醐留権先生ではない)。
「もう優勝カップルがわかりきってるんだけど、面白そうだよね……」
「うん、楽しみすぎる。優勝カップルはわかりきってるけど……」
エントリーシートを確認してゆく生徒たちは、華々しいステージになりそうだと期待しつつも優勝カップルがどのカップルなのか既にわかりきっているらしい。
わかりきってはいても、カップルコンテストと言えば愛を確かめあうクイズとかで学園のアイドルのあれやこれやを知ることができそうだと、気持ちが昂った。
そんななか、
「あれ!?わたしと薔の名前が書いてありますよ!」
おそらく優勝を既に悟られているカップルの彼女のほうが、何事かと掲示板を見やってから驚きの声を上げた。
朝から素敵なおかたを拝めた他の生徒たちは、とりあえず二手に分かれて道を作る。
ナナが驚いて指を差したほうを一緒に見た薔は、そら殺気立って口にした。
「何だ?これ……」
(えええ!?こちらの反応は絶対に、許可を取ってない…!)
周りはうっとりが一変し、戦慄を覚えた。
一瞬、生徒会室が血塗れになるという惨状まで、想像しかけた。
生徒会の皆さんはちょうどこのとき、えもいわれぬ殺気をしかと感じ取っていた。
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