※※第243話:Make Love(&Dolce).144















 先日は素敵なアドバイスをどうもありがとうと言うことで、もうすぐで7月という日の夜、真依は手作りの甘いもの(チーズタルト)をお隣の愛の巣まで届けにきてくれた。

 ナナは何のことだかよくわかっていなかったが甘いものはありがたく受け取り、何のことだかわかっている薔は彼女の様子を楽しんでいる。
 甘いものが入った袋だけ手渡すと、やけににまにましている真依はすぐにおいとました。




 ちなみに、ナナのアドバイスから素敵な名案がひらめいた真依は、なんとかしてこの状況を逆手に取ってやろうと目論み始めていた。
 要するに、屡薇に対する意地悪の仕返しです。
 真依は彼から痺れを切らして言ってくれるまで、LINEでは既読無視を決め込むつもりだ。

 とことんまで弄り倒してやろうとたくらんでいた屡薇だったが、予想外の長時間既読無視にかなり凹んでいた。
 もういっそ「からかってごめん」と謝ってから直接会って事実を打ち明けて、恥ずかしがらせるプレイに変更しようかとも思っている。
 しかしながらツアーも始まってしまい、忙しくてなかなか上手くはいかない。
 真依はファイナルには参加する予定のため、もしかしたらその夜に羞恥のラブアフェアとなるかもしれない。

 屡薇と真依の交際もラブラブ絶好調であります。










 「ちょうど甘いものが食べたいと思ってたんですよ!」
 リビングへと戻る途中にもう、ナナはウキウキで、
 「奇遇だな、俺もだ。」
 喜ぶ彼女を見ながら薔はさらりと返した。

 「薔がおっしゃってますのは、わたしのことですかーっ!?」
 「何でわかった?」
 「なんとなくわかっちゃいましたよ!」
 「ふーん、おまえにしては珍しいな?そんなに俺に食われたかったのか?」
 「そっ、それは……否定できませんけど……」
 ナナは珍しくすんなり察知したと言うべきか真っ赤になり、おまけにばか正直すぎて否定はせず、反応が可愛すぎて薔はますます食べたくなってくる。

 「なら、先にこっちだな?」
 「えーっ!?」
 それでもそこまで素直に言われると焦らしたくなり、先にチーズタルトを食べることになった。
 ナナはあからさまに残念がり、ふたりがリビングに戻ってくる頃には気を利かせたわんこたちはお部屋でお休みタイムとなっていた。

 「おまえ何か飲むか?」
 「えっ?えっと……あの、あたたかい牛乳でお願いします……」
 ナナが飲みたいと申し出た飲み物は捉えようによっては卑猥なのだが、突沸させることなく温められる電子レンジがあるので薔はあたたかいミルクを作りにキッチンへと向かった。
 彼は冷静を装いながらも、心中は穏やかではいられていない。

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