※※第241話:Make Love(&Sex aid).26
玩具の振動はおそらく一番弱いところまで持っていかれ、じれったくて仕方ないナナはそれでも平静を装おうとして高鳴る左胸を押さえた。
客人の来訪については聞かされておらず、もじもじしてしまう腰も大人しくするように心で言い聞かせながらソファに座って待機していると、
「こんばんは。」
薔に案内されリビングに入ってきたのは、夕月だった。
如月は心置きなくジムへと向かったのだと思われる。
「あ…っ、あれっ…?夕月さん…?」
まさかの夕月登場に、ナナは目をぱちくりさせつつ玩具の焦れた快感を隠そうと懸命になり、
「薔、俺はナナちゃんの隣に座ってもいいのか?」
「それはダメだ。」
ふたりがお仕置き中だということを知る由もない夕月は、笑いながら薔をからかったりしている。
ソファには立派なスペースが、空いておりますので。
(な…っ、なぜに夕月さんが…っ!?)
ナナは唖然として、テーブルを挟んで目の前に座った夕月をまじまじと眺めている。
ちょっと見過ぎなために、夕食の支度に取り掛かろうとしている薔はご機嫌ななめとなる。
「あん時は偶然通りかかっただけだからな、礼なん俺は別に良かったんだよ。」
ナナの視線に気づいているのか気づいていないのかは定かではないが、夕月は振り向いてキッチンのほうを見やり、
「そう言いながらもちゃんと来たのは夕月さんのほうだろ?」
無造作に腕捲りをした薔はやや呆れたように返した。
「まあ、お前が手料理を食わせてくれるっつったら、来ねえわけにはいかねぇだろ。」
夕月はいつもの余裕を保ち、笑っている。
どうやら今夜は、いつぞやの発熱の際に家まで送り届けてくれたことへの礼として、夕食に夕月を招待した模様だ。
ここまでで特にどこかからこけしちゃん小説に切り替わったりはしておりませんので、ご安心を。
(なんか……薔がとたんに…っ、もんのすんごく可愛らしくなってしまいましたが…っ……)
ナナはまだまだ継続してバイブを咥え込まされている部位からお腹の中まで、キュンキュンと疼かせていた。
さっきまであんなにも意地悪にお仕置きをしていたと言うのに、中にまだ彼の感覚はしっかりと残っているのに、夕月の前だとやっぱりどこかしおらしくなってしまう薔の姿にときめいてしまった。
それすなわちギャップ萌えである。
瞬時に視線は彼に奪われ、自分は手伝わなくてもいいのだろうかと悩む余地をナナは与えられていない。
彼女の手料理は、かなり貴重なので仕方ない。
「……今日のナナちゃんはやけに大人しいな、薔に風邪移されたのか?」
目の前に視線を戻した夕月は、来たときからほとんど喋らないナナを心配し、
「え…っ!?そ…っ、そんなことはないですよ…っ!?」
ギクリとして慌てたナナは、精一杯の笑顔を作って見せた。
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