※※第240話:Make Love(&Sex aid).25













 木曜日、目を覚ました真依は頭が少し重いことと、自分のベッドとは違う匂いのベッドに寝かされていることに、朧気ながらも気がついた。

 「…………あれ?」
 本日は仕事はばっちり休みのために、時間については特段心配する必要はないのだけど、何かとんでもないことを昨夜はやらかしてしまったような気がしてならない。
 真依はもう匂いからしてわかっていたが、彼のベッドのお布団に包まれたまま恐る恐る自分の身体の状態を覗いて確認してみると、服はきちんと着ていた。
 いやしかし、やけに皺だらけになっていたりする部分があったり、ボタンが一ヶ所ずれていたりと適当に着せられている部分が、ある。

 隣に屡薇は寝ておらず、部屋の中はしんとしていることからしても彼はすでに出掛けたようだ。


 「……ええっと、天ぷらを作った後らへんから、記憶がない……」
 真依は重い頭を抱えて昨夜の出来事を思い出そうと試みても、天ぷらを作っていたらビールがそう言えば余ったような……くらいの曖昧にしか思い出せずにいる。
 そもそも、その天ぷらたちはどうなってしまったのかと心配になった真依は、ベッドから出てキッチンへと向かおうとした。

 そのとき、

 「えっ?あれ?」

 いつも彼に会うときは持ち歩いているコンドームの袋が、スカートのポケットのなかから消え去っていることに気づいた。
 立つといつもなら、無闇に膨らみができてしまってはいないかと気にするのだけど今日はすっきり膨らみがなくなっている。

 「えーっ!?何でないの!?」
 自ら差し出した記憶が微塵も残っていない真依は、コンドームを持ち歩いていることがまさかバレてしまったのではないかと赤面しひたすら慌てだした。
 バレてしまったのではなくて、くどいようですが自ら差し出したんですけどね。

 布団をめくってみたが、ポケットのなかから零れ落ちたわけではないようだ。


 「る、屡薇くんに聞いてみる……ってわけにも、いかないし……どうしたらいいの……」
 真っ赤でオロオロする真依は、なぜかちゃっかりナイトテーブルのうえに置かれている携帯を手にしてから一瞬躊躇い、そしてLINEのメッセージが届いていることに気づいた。

 ごくりと息を呑んで確認をしてみると、送り主はまさしく屡薇で、そのメッセージの内容とは、

 “ぐっすり眠ってたから起こさなかったけど、大丈夫だよね?
  もうね、昨日みたいな真依さんもすごく可愛くて俺大好きだよ”

 とかいう真依にとっては何だか羞恥の極みとしか言い様がない内容で、彼女はぽすんと携帯をベッドのうえに落っことした。

 「ちょっと!あたしは一体何をやらかしちゃったの…!?」
 聞きたいけれど、聞けない。
 しばらくは屡薇にこのことをネタにされたりしそうで、とりあえず真依は彼の枕をグーで殴ろうとしてから、枕に罪はないしいい匂いもするので抱きしめるしかなかった。

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