※※第237話:Make Love(&Sex aid).24







 グイと脚は開かれ、ローターが入ったままの入り口に彼が当てがわれる。

 「あ…っ、お…っ、お熱っ……は…っ?あ…っあっ、」
 恍惚の表情で見上げるナナは、今更ながら甘ったるい声で尋ねることができた。
 「おまえがいるからどうってことねぇよ……」
 あたまを撫でた薔は、色っぽくて妖美な笑みを落とすと挿入してきた。

 ズプッッ――――…

 「あっあっあっ…あっ、ああっあっっ、」
 玩具が入っているのに彼にも挿れられて、躰を跳ねさすナナは早くもイけてしまいそうになる。

 そのとき、

 「邪魔だな、こいつ…」

 薔は中へとゆびも何本か突っ込み、ローターを引き抜き始めた。


 「ひあああ…っ!?あっあっ…やら…っ、あっ…ああやあっっ!」
 ナナの中には彼の自身と彼のゆびと、ローターでギチギチになる状態がいきなり訪れ、ふるえまくった彼女は絶頂を得る。
 「嫌なわけねぇだろ、イったくせに…」
 収縮する彼女の中から玩具を引っこ抜いてしまうと、スイッチを切って傍らへと放り、薔は最奥目掛けて激しく突き上げた。

 「あっっ…あああっ!」
 ベッドが大きく軋んで、ナナはすぐにまた絶頂を得た。
 とっくにおかしくなっているのかもしれない、至上の快感は止まらない。

 ズッ、ズプッ…ズチュッ――…

 「聞こえるか?このとろとろのやつが、俺のに絡みついてド卑猥な音上げてる…」
 ゆびを濡らした蜜を舐めている最中も、薔は何度でも彼女の中へ突き挿れた。
 「あっあっああっ、あ…っ、お…っ、お…くっ、らめぇ…っ、あああっんっ…っっ、」
 ナナは子宮まで痺れ上がるようで、お腹の中まで切なくときめいてひっきりなしに嬌声を響かせる。

 「……ここだよな、気持ちよすぎてダメなんだろ?」
 容赦なく奥を突いて、愛撫する肌へとゆびを食い込ませて、薔も息を淫らに乱した。
 「っひ…っっんっ、あっあっ…あああっあっ、」
 湿った靴下のつまさきまで細かくふるわせて、ナナは彼のシャツを掴む。

 「あううっっ!」
 彼女はまたしても絶頂を得て、

 「……っ、く…っ、」

 抱きしめた薔は動きを速めた。






 パンパンパンッ――――…

 「あっあ、あっあっあっああっ…あっ、あっは…っ、ああっっ…あっ、」
 ナナは縋るように彼へとしがみついた。
 腰づかいはなめらかに激しくて、ぶつかりあう弾みで体液が煌めき飛び散る。
 「おまえの熱だけ感じてるほうが、熱いよ……くらついてきた、病みつきになる……」
 薔は動きながらシャツを無造作にはだけさせて、色気でまた彼女の視線を刺激した。

 「ああっ…――――――…っ!」
 ナナは戦慄いて絶頂を得る。
 鮮やかなオーガズムに、彼女も無二の目眩を覚える。
 「……っ!」
 ほぼ同時に薔も射精をして、しなるその躰をよりつよく抱きしめた。

 「はっ…あっ、あっ…あああっ、あっん…っ、」
 子宮が彼の鼓動と一体化して、何もかも奪い去られた感覚に陥る。
 それなのに体内は、彼の迸りであまりにも確かに満たされてゆく。



 「…――――赤いやつもくれてやろうか?」
 耳にキスをして吹き掛けると、薔は彼女の指輪を外していった。
 「ん…っあっ、あ…っあっあっんっ、」
 中で攪拌させるように動かれながら、ナナは能力を解き放たれる。
 ほんとうは彼には噛みつきたくないのだけど、熱を出してしまっているのなら致し方ない。

 「おまえの牙で……癒してくれんだろ?」
 彼女のくちびるをゆびで撫でた薔は乱れた息を零れさせ、やわらかくくちづけてから笑って確かめてくる。
 けれど動きは再び激しくなるばかりで。

 「んん…っ、ん…っうっ、」
 甘い匂いにも誘われ、彼の首筋にくちびるを滑らせると、ナナは牙を立てたのだった。



 「…――――――っあ…っ、」
 首筋には美しく血液が流れ落ち、躰を反らした薔は微かな声を上げた。
 彼女の毒牙は彼を捕らえ、ふたりはゆさゆさとベッドのうえで重なり動き続けている。

















 「……ナナちゃんは、美咲の居場所を知らねぇな?」
 残照のなか、薄暗いオフィスで、夕月は一人誰にでもなく問いかけた。
 如月は心置きなく、ジムに行かせてある。

 探りを入れたわけではなかった、ただ、様子が気になり密かに窺うだけの予定でいたのだが、薔が熱を出している様子で放っておけなかったのだ。


 「あの子はほんとに、嘘をつけねえタイプだ……」
 車に乗せたときのナナの表情を思い出して、夕月はくっくっと笑った。
 ひた隠しにしている“それ”を、どうやら気づかれてはいるようだと薄々感付いてはいた。
 それでも夕月には確信があった、ナナが確信を持つまでは下手に薔へと確かめたりはしない確信が。
 それなら、確信を持たせなければいいだけの話だ。

 「美咲……」
 窓の外に広がる夜に向かう空を見つめ、夕月は愛する妻の名を呼んだ。
 まだ、彼女は応えてはくれない、いつか応えさせる自信が夕月にはあったけれど。

















  …――Love calls mystery.

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