※※第237話:Make Love(&Sex aid).24
















 「こけしちゃん、おはよう!」
 朝、登校したナナは薄い紙袋を持って、親友のもとへと元気よく向かった。
 「おはようぅ、ナナちゃぁん。」
 にっこにこ全開で返したこけしちゃんは、すでに着席しており例のあの世界をめくるめかせようとノートを広げたところだった。
 日曜日のデート効果で、乙女たちはお肌もツヤツヤ絶好調である。

 「あのね、昨日薔と映画を観に行って、こけしちゃんにお土産を買ってきたから、これ……」
 ナナはこけしちゃんへと紙袋を差し出してから、

 ……かああぁぁああっ…

 映画館で彼氏としちゃったことを思い出し、真っ赤になった。


 「わざわざありがとうぅ、ナナちゃぁん、さっそく見てもいいぃ?」
 「う、うんっ……」
 さらににっこにことなったこけしちゃんは大方を悟り、さっそく紙袋の中身をおっとりと取り出した。

 中に入っていたのは、こけしちゃんもよく使うと思われる下敷きだった。
 紫色の透明なプラスチック板に、真っ青な線でナスカの地上絵のハチドリが印刷されている。
 可愛いと思いお土産に選んだのは、もちろんナナでございます(買ってくれたのは薔だけど)。

 ちなみに、下敷きを買うとこけしちゃんもお揃いとなってしまうために否応なしに却下され、ナナと薔はコンドルのキーホルダーをお揃いで購入した。



 「………………。」
 どうしてナスカの地上絵ぇぇ……と思ったこけしちゃんはいったん、ニコニコと黙り込んでから、

 「斬新でぇ、可愛いねぇぇ?」

 きちんと感想を述べてくれた。
 重要なのは無論、斬新のほうです。


 「気に入ってもらえて良かったよ!」
 選び抜いた品なのでほんとうに気に入ってもらえたかはあまり定かではないがナナも喜んでから、こそこそと切り出してみた。

 「こけしちゃんも、デート……楽しかった……?」

 と。




 「うんぅ、昨日はぁぁ、ゾーラ先生ぇの甥になる予定の子も一緒でねぇぇ、すごぉぉく楽しかったよぉぉ……?」
 「それは良かったね…!」
 こけしちゃんもこそこそと返し、まさかその子が寝ている傍でエッチをしちゃったとは知る由もないナナさんは、こそこそと共に喜んでおいた。
 こけしちゃんはかろうじて、思い出し赤面とかは抑えられている。

 「甥っ子ってぇ、すばらしいねぇぇ……ゾーラ先生ぇのことをずぅっとかっこいいって言ってたしぃ、成長が楽しみすぎてぇぇ……」
 「ほ、ほおお…?」
 しかもこけしちゃんは決して伯父×甥を忘れてはおらず白いあの美しいお花の世界を成長させてゆく予定のようで、意味がよくわからないナナだがとりあえず相槌を打っておいた。
 ずっとかっこいいとは言っていなかったし、最終的に呼び方は「めがね」でしたが。

 そしてこけしちゃんは、にっこにこが止まらない様子で口にした。

 「5歳の男の子なんだけどぉ、素直でいい子だったぁぁ。」

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