※※第236話:Make Love(&Make Love!).14















 ゆびさきや、声や、ぬくもりや、吐息や、くちびるや――嫉妬、言葉、視線――ぜんぶが甘い狂気。

 捕らえて離さない。
 捕らえられて離れられない。















 (ううう〜ん……おかしい……)
 と思いながら、ナナはシャワーを浴びていた。
 映画館でエッチをしてしまってからは、もっとエッチをしたい気持ちを抑えつつカジュアルなレストランでちょっと遅めの昼食にして、やってまいりましたはラブホでございます。

 部屋に入ったらすぐにキスとかしてもらえるかと期待もしていたのだが、ナナは薔に優しく提案をされてまずはシャワーを浴びていた、一人で。
 そこは一緒に浴びてはくださらないのか……と、正直なところ残念で仕方がない。

 彼も我慢がならなくなっているはずなのに、部屋に入ってからは触れてももらえなかった。

 おまけに、

 「じっ……自分で掻き出すのって……難しい……」

 ナナは映画館のなかで一度出されてしまったソコを、丁寧に洗ってくるように指示されていた。
 こうなってくると、こっそり自慰とかでもしてしまいたいが、そこはラブホに来ているのだし何よりお許しが出ていないためにひたすら我慢である。


 くぱっ……

 シャワーを浴びながら、そろそろとナナが入り口を拡げると、とろりと内股が濡れたように感じた。
 彼の感覚はまだ鮮やかに残っていて、確かに激しく呼び戻して欲しくなる、シャワーの音に紛らせてナナは息を上げる。

 「ん……」
 そして恐る恐る、ゆびを入れて中を洗うようにゆっくりと動かした。
 これが彼のゆびだったら、確実にイってしまっただろう、そう考えるとますますじれったくなりエッチな気分が高まる。


 「ううう…っ、薔の……いじわるっ……」
 わざと焦らしているのだとしか思えないナナさんは、小さく甘えた声を零れさした。
 バスルームにはシャワーの音が反響しているばかりで、声は溶けるみたいに自分へと響いてくる。

 ヌルッ…クチュッ――…

 「……っは…っ、ん…っ、」
 ナナは自らの手で努めて丁寧に秘部を中まで洗いながら、映画館でしてしまったエッチについてをありありと憶い出していた。
 奥まで否応なしに、反応してくる。
 敏感な場所はじんじんして、熱くなり、いつにも増して彼のことばかりを考えていた。

 これも意地悪の一環なのかと思うと、全身は焦れても尚悦んでしまっている。
 そういうふうにされてしまったのだから、欲しい気持ちを膨張させながら、ナナは自分の躰を丹念に洗っていった。

[ 80/537 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る