※※第199話:Make Love(&Sex aid).15
いよいよ、やってまいりました、
《F・B・DY》!
深まる一方の謎は、徐々に紐を解かれてゆくのかもしれません。
まずは、例の一日アルバイトから、始めていっちゃいましょうか。
…………Are you ready?
「薔のバカ――――――――――っ!」
あーっ、ぁーっ…(※エコー)
Y初っぱなのナナの台詞は、こちらだった。
憤慨する彼女は玄関にて、地団駄を踏んでいた。
傍らの花子はやや困り顔でナナを見上げ、豆は構ってもらいたい一心で時々ちょっかいを出しながら花子の周りをトテトテと駆け回っている。
今日は劇の稽古自体がお休みとなっている、日曜日である。
「わたしも行きたいです!薔がお仕事をしてらっしゃるお姿をどうしても見たいです!」
お見送りだけでは気が済まないナナは、必死になって訴えるものの、
「おまえな…」
これから一日アルバイトに向かう薔は、若干厳しく険しく彼女を諭した。
「今日俺がバイトに行くとこは、ほとんど男しか働いてねぇんだぞ?」
「それがどうしたんですかぁ!?」
彼の雰囲気に地団駄を踏むことを止めたナナは、それでも食い下がる。
拝めるものだと思っていたのに、行けないとなれば残念で仕方がないのだ。
「ほとんど野獣しかいねえってことだ、危ねぇだろーが。」
そして未だ厳格につづけた薔の前、ナナは一番の美しき野獣は今現在目の前にいらっしゃると思ったのだが、口にはせずにおいた。
この場合危ないのは、ナナなのだろうか?
一緒に働く店員さんたちなのだろうか?
「俺が帰って来るまでいい子にお留守番してろよ?」
何も言い返さなかった彼女に薔は立派に言い聞かせると、
「そしたら夜はたっぷり、可愛がってやる…」
背を向ける手前に微笑んで甘い言葉を残し、アルバイトへと向かって行きました。
「うわわああん……薔のいじわる……」
いい子にお留守番をしてさえいれば夜には可愛がってもらえるようだが、ナナはこっそり後をつけて行って、お仕置きでも構わない勢いだ。
泣きそうになって、懸命に言いつけを守ろうと自分に言い聞かせながらも見たい誘惑には負けそうで、ナナが花子と豆と共にリビングへと戻ると、
ちょうど、彼女の携帯電話(フィーチャーの操作にようやく慣れてきた頃)が鳴り始めた。
「おおおっ?」
もしかしたらやっぱりお許しを出してくださるのかもしれないと、誰からの着信かも確認せずにナナが慌てて電話を繋ぐと、
『あぁぁ、ナナちゃぁん?』
電話の相手は、こけしちゃんだった。
「こけしちゃーん!」
この無念を親友に聞いてもらおうと、ナナが声を張り上げると、
『あのねぇ、今日ねぇぇ、胡桃沢先輩ぃととあるカフェでお茶をする予定なんだけどぉぉ、』
耳がビリビリしちゃったこけしちゃんではあるが、おっとりと提案したのだった。
『ナナちゃぁんもぉ、一緒に行かないぃぃ?』
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