※※第227話:Make Love(&Sex aid).22















 やりきれない想いが、心を抉る、

 傷つけたくない、だけど、傷つけたい。















 「一昨日来やがれこの野郎!」
 学園祭のクラスごとの企画について、ちょっとした練習の時間に、ナナは満面の笑みで仮のお客さんをお出迎えした。

 びくぅっ…!

 となったクラスメートの男子は、思わず後ずさる。
 他のクラスメートたちもだいたいは、度肝を抜かれた。


 「それはナナちゃぁん、薔くぅんに指導されたのぉぉ?」
 「うん、そうなんだよ、こけしちゃん!」
 ニコニコのこけしちゃんはおおよそ見当がつくためおっとりと尋ね、ナナは素直に元気よく頷いた。

 メイド喫茶でもお出迎えできるのは、執事のご主人様(←ややこしい)だけですので。


 「あのねぇ、ナナちゃぁん、」
 ニコニコが止まらない様子のこけしちゃんは、親友として、いくら何でもそのお出迎えはまずいよぉぉとか諭してくれるのかと思いきや。

 「笑顔でお出迎えしてもいいのかぁについてもぉぉ、ちゃぁんと薔くぅんに確認したほうがいいと思うよぉぉ?」
 という、何となく粋な計らいっぽい提案をしてきた。
 クラスメートたちは、(アドバイスそこか!)とか思ったりしたが誰も何もツッコめはしなかった。

 「あっ!そうか、ありがとう、こけしちゃん!」
 ナナは即座に納得し、帰ってからきちんと彼氏に確認してみようと心に決めた。
 「いえいえぇ。」
 本日もこけしちゃんは絶好調ににっこにこで、間接的に親友の何かしらを狙ってあげているのは確かだと思われる。

 「ちなみにぃ、お客さぁんを見送るときはぁ、何て言うのぉぉ?」
 「“二度と来んなばか野郎”だよ!」
 「なるほどぉ、それについてもぉ、ちゃぁんと確認してみてねぇぇ?」
 「そうするよ、ほんとこけしちゃんありがとう!」
 「いえいえぇ、どういたしましてぇぇ。」
 乙女たちの会話はかたほうは無邪気に、かたほうは意図的に、たいそう盛り上がっている。

 (もはやメイド喫茶ではないような……)
 としっかり思えたクラスの皆さんですが、まあ色んな属性のメイドもいることだし、何より彼氏が彼氏なので何も言うまいとした。


 「楽しくなりそうだなぁ!このクラスが優勝したら校長にはやっぱり旅行券とか賞品にさせたいなぁ!」
 ローンがまだ何年か残っているマイホームが健在の吉川先生は上機嫌で、ただ大笑いをしていた。
 副坦の勇真もさりげなく、学園祭にはちょっと心躍っている。

 2-1も2-5も優勝候補のクラスであるため、校長先生はどちらにせよかなりの自腹を切らされる破目になりそうです。

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